香水 K×A

□bisque doll
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「ねぇ、ゆかちゃん?」

彼女は情事後特有の濡れた色っぽい瞳で囁いた。

「どうか…ずっと…。」

その先を言い淀んで、揺れた瞳。

私にしつこく続きを急かされて、観念して吐いた台詞。

それは私の鼓膜を甘く溶かすような一打撃だった。

その一風変わった一言が耳から離れなくて、その意味解釈がままならずやきもきしたりして。

ただのベッドの戯言に過ぎないであろう彼女の台詞に、私はいつまでも囚われ続けていた。


そう、もうあれから3日が経つのに、私はスタート地点から1歩も動けずにいる。

結局、彼女の言った言葉の意味をうまく理解出来ないでいるのだ。


何かを深く考え込むのはゆかの得意技だ。

通りすがりの人のこれまでの人生を想像してみたり、
地球の未来について馬鹿げた憶測をたてたり、
隙あらば空を飛んでる小虫にだって思案を巡らせる。

本当に下らないこと。
ふとした思いつき。

だけど最近、そんな他愛もない内容より圧倒的に脳内を占めるのは、彼女のこと。

ゆかが考え事をする達人なら、
あ〜ちゃんは人の心を惑わせて手のひらで弄ぶ達人だから。

本人に自覚があるのかないのかが謎だ。

多分あるんだろうけど、確実に無自覚な時もあるようにゆかは思う。

悩むゆか、悩ませるあ〜ちゃん。


何だか私たちが一緒になるのは必然だったのかもしれない、なんて思う。

随分と漠然としているけど、この持論には不思議と自信があった。

運命なんてロマンチックな言葉、現実主義者の私にはらしくないけどね。
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