【APH】One's Partners

□episode 03
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 ここは食堂[亜細亜亭]…繁華街の一角に昔からある食堂である。


「厨房の二人、早くするヨ!」


 黒がかった茶色の長髪に先がくるくるとなっている長い前髪、左右に梅の髪飾りをしている少女が厨房で何かを作っている少年と女性に叫んだ。
 少女は長袖のピンクのチャイナ上着に白いフリルの付いたスカートを履いている。


「ちょっと待つんだぜ…………よし!チャプチェ完成なんだぜ!!」

※チャプチェ…韓国料理。春雨と野菜の炒め物。


 前髪を左右に分けて額を見せた黒髪に黒い瞳、分け目あたりから飛び出した上向きに巻いたアホ毛が特徴的な少年は完成した料理を皿に盛り付け、少女に渡した。
 少年はソチャンオクを着ている。

※ソチャンオク…韓国にある青と白の民族衣装


「こちらも完成したぞ。」


 厨房に居るもう一人の女性は生春巻きが綺麗に盛り付けられている皿を、叫んでいた少女に差し出した。 女性は長い黒髪を後ろの下のほうで一つに結っており、前髪をM字型に分けている。若草色のアオザイは動きやすそうだ。


「じゃあお客さんに出してくるヨ。あ、勇洙(ヨンス)は次私が帰ってきたら交代ネ☆」

「やっと厨房から出られるんだぜ!」


 少女の言葉を聞き、厨房の少年…勇洙は嬉しそうに捲(まく)っていた袖を下ろした。


「私はまだ厨房か?」

「う〜ん…蛍麗(インリー)にはまだ料理を作ってて欲しいヨ。」

「はぁ、そうか…。まあ、私は梅沙(メイシャ)やソムのような笑顔を作るのは苦手だからな。」


 女性…蛍麗は喜ぶ勇洙とは対称的に溜め息を吐き、苦笑した。


「蛍麗の笑顔もKawaiヨ!でもソムは笑顔、上手過ぎるネ。」

「だな…ほら、早く行かないと料理が冷めてしまうぞ?」

「わぁ!急いで出して来るヨ!!」


 二人から料理を受け取った少女…梅沙はスカートを履いているにも関わらず、軽やかな足取りでお客さんが待つテーブルへと運んで行った。
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