その他本棚
□スイーツ
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だだっ広い正十字学園の並木道を特に行く宛もなくぶらぶら散歩していた。
次のT字路でどっち曲がろ…あ、次に人に追い抜かれた方にしよかな、って後ろ人おらんし。
とか考えていたらそのT字路に燐と若先生が通るのが見えた。
燐は今日もかわええなぁ…
「あ、志摩!志摩ぁ!」
「なんや、えらい大声で」
俺を見つけた燐が嬉しそうにこちらに駆けてきた。
若先生のオーラがどす黒くなったのが、結構離れた俺の場所まではっきり解ったが、とりあえず抱きついてきた可愛い恋人を堪能しよう
「いいじゃん。俺が呼びたかったんだから…嫌だったか?」
「嫌だなんて、そんなわけあらへんよ!もう好きなだけ呼んでくれはって!」
そう言うと不安げに見上げていた顔が、ぱぁっと明るくなっていつものような笑顔の燐なった。
「あっそうそう。志摩、これやる」
鞄の中から取り出されたのは小さい袋。
それをつい、と差し出してきた燐の頬がほんのり赤く染まっていた。
中身はなんだろう。よくお菓子を作ってくれるが(絶品だ)それなら赤くなることもない。
「なにがはいっとるん?」
「ッお菓子だよ。ただのお菓子!」
その反応でただのお菓子って言われても、なぁ…
つくづく嘘が下手な子やなぁ。そこもかわええんやけど
「食べてええ?」
「いっ、いいぜ」
声が裏返っとりますえー燐くん。
内心ニヤニヤしながら包みを開ける
とそこには、ピンクのクッキー。しかもハート型。LOVEとへこみで文字が書いてあり、とても可愛い。
「燐…これは、」
「志摩の色っていったらピンクだろ。志摩の事考えてたら、ハート型しかおもいつかなくて…」
作ってる途中に雪男に見つかって凄い問いただされたけどな
と言ってはにかむ燐は可愛くて可愛くて仕方がない。これを作ってる間、ずっと自分を思ってくれていたかと思うと愛しさが溢れる。
「やばい、めっちゃ嬉しい。しかもめっちゃ旨そう!」
「味は保証するぜ!早く食えよ」
得意気にしているが、やはり反応を待っているようで、一口かじる。
口のなかに優しい甘さと少しの酸味が広がって、幸せな気分になる。
反応が気になるらしく、顔を覗いてきた燐にキスをした。
「イチゴ味やな。美味しかったやろ」
なぁ、俺の真っ赤な恋人さん?
\(^p^)/