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□一度だけ!
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俺には一月ほど前から付き合ってる奴がいる。
ちゃらんぽらんで、女好きで、いつもへらへらしてて、虫が怖くて泣きついてくるようなダメ男だ。
とにかく、奴はモテる。
人懐っこいタレ目で、ピンクの髪の毛はフワフワしてて、恋人だっていう贔屓目を抜きにしても…かなり格好いい。
だからよく告白されてるのも知ってるし、見たこともある。
そしてしっかり断ってるのも知ってる。
知ってるし、わかってるけど。
「……お前、今月入ってから何人目だよ」
俺は少し怒っていた。俺がいるのに女子にへらへらするなんて、と
「えーと、5人目です」
ばつが悪そうに言う
もう呆れたとしか言いようがない
「いくらなんでも多すぎないか?お前なにか誤解されるような行動とってんじゃねぇの…」
なんか悲しくなってきた
俺じゃやっぱり嫌なのかな
「いやそんな……あー……」
「心当たりあるのかよ」
あー、涙でそうだな
「いや、そのね?名前とかは出してないんやけど…ちょお恋愛相談的なのに乗ってもらったりしとった…ていうのはある」
「…え?」
びっくりして涙引っ込んじまった
「あー、でも今思えば名前伏せとったけぇ誤解されたんかなぁ…ごめんな燐くん。俺
燐くんのこと大好きなんやもん。のろけたいねん」
顔をふにゃふにゃにさせて言うから
「志摩……」
「あ、燐くん。二人だけの時は名前で呼んでや?」
約束したやん、といいながら両手で頬を挟んでくる。
まるでキスするときのようで、自然と顔に血が上る。
「れ、れんぞー……っ」
「ふはっ燐くん顔真っ赤やで〜かわええなぁ」
「言うなよっ……」
きっと今の俺のかおは林檎みたいになっているのだろう。あー恥ずかしい!
「燐くんかっわええ……大好きやで!」
「うぉあっ」
がばぁ、といきなり抱きついてきた。そして頭を首の辺りに擦り付けている。
「なんか、廉造猫みたいで可愛いな」
よしよし、とフワフワの頭を撫で回してやる
心地よいらしく、自分から頭を擦り寄せてきた
「…一回しか言わないからな」
「へ?」
まぬけた顔を上げてきたので、顔が見られないようにぎゅうと抱き締めた
「…廉造、大好きだ」
「え!ちょ、まって、可愛すぎ…じゃなくて、もっかい、もっかいいってや!録音したいねん!」
「ぜっっったいにヤダ!」
だって今俺のかおは林檎なんて目じゃないくらい赤いだろうから。
END
\(^p^)/\
(^p^)/
燐に大好きって言わせたかっただけ。