黒子本棚
□See you tomorrow
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僕らは離れて暮らしている。いつでもひとりでいるようで、ふとした事で寂しくなってしまう。
それは僕だけなんだろうか
だんだんと記憶の中の君が呆けた色に変わってしまいそうで、毎日電話をかける。君は毎回楽しそうに喋るから僕もなんだか楽しくて。
おやすみ、と電話が切れてしまったら、途端に部屋が静かすぎて。
僕一人には少し大きすぎる部屋の端に置いたベッドで布団にくるまった。
電話ですら愛されてるのは伝わってくる。その度に僕は嬉しくて理央達には到底見せられないようなふにゃふにゃした顔で笑ってしまう。
でも、電話のあと寝るときになって、今までの幸せは全て夢で、起きたら何もかもなかったことになるんじゃないかと普段は絶対に考えもしないことを考えたりしてしまう。
君は、僕が部屋に君と撮った写真を飾ってるって知ったらどう思うだろうか。
君は、僕が携帯に君の写っているものならあやふやな写真でも全て残しているって知ったらどう思うだろうか。
夜は、寒いな。
ねえ、君ととふたりきりで逃げ出してどこかの国へと行けたらいいのに
赤い煉瓦でできた短いトンネルのある、小さな町でいいから
君がいるなら何でもないような話さえ楽しいと思え
て、どうでもいい秘密をつくったりして二人で小さな共犯者になって、笑って
…なんて。
そんなことは不可能だって解ってるのに。
気がついたら、いつの間にかまた光輝に電話をかけていた。
prrrrr…
『もしもし』
いつの間にか思考がとても深くまで落ちていたらしい。今口を開いてしまったらもう女々しい台詞しかでてこないだろう
ああ
『もしもし?征十郎?』
光輝の声を聞くだけでこんなにも嬉しくなるだなんて。
「光輝…」
『どーしたの?なんかあった?』
「光輝…会いたい」
『俺も…征十郎に会いたい。合ってたくさん話がしたいし、征十郎の話が聞きたい。征十郎の顔が見たいし、征十郎に触りたいし抱きしめたいし、キスしたい』
「君って奴は…平気でそんなことを言えるのか」
『言えるよ。…引いた?』
「いや、嬉しいよ」
『あ〜っ!もう!征十郎大好き』
「僕も大好きだよ、湯豆腐」
『湯豆腐かよ!』
「あ、明日光輝の家行くから」
『え?来るの!?』
「…嫌か?」
『全然!むしろ大歓迎だよ!会いたいし』
「そうか。ならよかった。何泊か泊まるからそのつもりでね」
『泊まる…てことは期待してもいい?』
「さあね?」
何も触れたいのは君だけじゃない。僕だって君に話がしたい。君の話が聞きたい。触れたいし触れられたいし、キスもしたい。抱きしめたいし抱きしめられたいし、君のあの笑顔がみたい。
『…じゃ、おやすみ。また明日ね』
また暫くしょうもないやり取りをして、僕は自分の体温で暖まった布団に埋もれて眠った。
明日になったら空港に行こう。
そして
\(^p^)/
ちょっと弱った赤司くんと普通な降旗くん。赤司くんにちょっとからかわれてる降旗くんが好き。