黒子本棚

□相愛傘
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黄黒
案外適当に書いてるので、矛盾があってもわらって許してね!




彼は、突然やってきた。

「あーもー……こんなつもりじゃなかったんだけど…」

あの頃と変わらず、彼の回りにはモデルである彼のファンが沢山取り巻いてサインや握手を求めている。

「お久しぶりです」
といったら、少し笑って手を軽くあげて、久しぶり、と返してくれた。


あの頃と同じようにまた一緒にバスケがしたい、と彼は僕を海常に来ないか、と誘ってくれたけれど。

僕はその誘いに乗ることは出来なかった。その時は火神くんとの約束を理由にして。
火神くんとの1on1を終えて、僕を誘ってくれたのに。


海常との練習試合の日の帰り際、彼は僕にそっと耳打ちしてきた。

「―明日、7時にあの公園で待ってるから」

すぐにいつもの調子にもどり、へらりとする。
じゃあまたね、次はリベンジするっスよ〜!と笑いながら彼は帰っていく。と同時に恒例のように、ちんたらすんなとキャプテンに蹴られて困ったような顔をしてスミマセンと言う。

それをずっと見てしまっていたらしい。
次の日の練習後、

「お前ほんとはあいつと仲よかったんだろ?」

と火神くんに言われてしまった

普通ですよ、と言ったが火神くんは聞いていないようだった。


彼の待ってる公園に向かわなくては。


僕と彼との仲は普通じゃなかった。全然普通なんかじゃなかった。彼は僕のことを好いていたし、僕も彼のことが好きだった。
最初はただの教育係と新入部員で。
彼は瞬く間にレギュラー入りして。
それでも僕になついてきて。

部活の帰りにあの公園でキスされて、告白されて。嬉しくて。


「黒子っち!」

彼の声に振り向くと、彼はベンチに座って手を振っていた。
回想しながら歩いているうちに公園についてしまったようだった。

「遅くなってすいません」
「そんなのきにしないっス。黒子っちとこうやって会えるだけで俺は幸せなんスよー」

人気のない公園とはいえ、素直に恥ずかしい事をサラッと言うから。彼が好きだと再認識してしまう。

「顔、赤いよ?」

急に口調が変わって、彼はふわりと僕の頬に触れた。
こういう普段との差に、いつまでたっても慣れず、顔を背けたくなるが、頬に触れる彼の手から離れるのが嫌でそのまま彼の目を見つめる。

そのまま自然に顔を引き寄せて、久しぶりのキスをする。
いつもなら最初のキスはすぐ終わるが、今日はなか
なか離してくれない。
まるで僕を自分のものだと確かめるように深く、また誇示するように強引に舌を絡めてくる。


「今日はどうしたんですか?なにかあったんですか?」

と聞くと、答え辛そうにしている。

「しょうもないことかも知れないから」

「気になるんで言ってもらえますか」

少しの間があいて、ようやく

「あの、火神っちのことなんだけどさ、俺より、あいつがいいの?」

驚いた。彼がまさかそんなことを考えているなんて。
「そんなわけないじゃないですか。僕にとって好きな人は一人だけです」

それでも彼は不安そうに僕を見つめて、

「でも黒子っちはあいつを取った」

真顔で言うから少しうろたえてしまって。

「だって皆の前で、僕たちが交際してることがファンにばれたりしたら大変だから、っていえますか」

さすがの彼も驚きを隠せないようで、目を見開いた。

「そうだったの?俺はてっきり火神がいいのかと…」
「妬きましたか?」

「当たり前だよ。好きだもん」

そう言ってまたキスをする。
今度は甘く、優しく。

その後は普通に、学校の話、中学の頃の皆の話とかを話していた。
そうしたらいつの間にか辺りは真っ暗になってい
て、朝の天気予報では言ってなかったがポツポツと雨が降ってきた。

もう帰らなくちゃいけないと思うと、寂しさが込み上げてくる。

「傘ないっス…」

鞄を持ち上げ、雨に濡れるのを防ぐ。
たしか、折り畳み傘を持っていた気がする。鞄を漁ってみると、案外簡単に見つかった。
相合い傘ですね、とか思うと少しにやけそうになる。
そういえば相合い傘はまだしたことがなかった気がする。

「黄瀬くん。傘、入ります?」


雨の中に一組の 相愛傘。



\(^p^)/\(^p^)/\(^p^)/
甘甘にしたかったんだよコンチクショイ!
落ちて無い感が半端ねぇ!

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