ジョジョ本棚
□君が僕の世界の全て
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フージョル
嫌い。嫌いです こんな世界なんか嫌いだ。
泣きながらすがり付いてくるジョルノに、僕は何も言葉を掛けてやることができない。こういうときには知識が僕の邪魔をする。
ジョルノはとても強いのだ。パッショーネのボスとして、沢山の、それはそれは最悪の悪意がひしめく裏側を統轄する者として、相応しく強いのだ。
強いと言っても全能じゃない。人はあくまで人であり、詰まるところ人は人を越えることなどないのだ。
ジョルノだって人である。
人は神にはなり得ないのだ。いくら強くて、美しくて、生命を作ることができても。人でしかないジョルノにはできないことがたくさんある。
ジョルノは完璧主義者だ。というよりかはそう見られたいのだと思う。
だから人前では決して不完全な、弱いところなど晒さない。
ミスタにすら見せないのだから。
そんなジョルノが弱音を吐くのは僕だけ。
「…こんな世界なら何処かへ消えてしまえばいいのに」
「いっそ消してしまおうか?」
ふるふると首を横に降る。
基本的にジョルノは、直接戦いには参加しない。ボスが討たれたりしたら大変どころじゃないからだ。
そして酷く負傷した人を治療するのだ。
ジョルノのスタンドは圧倒的に
強い。ジョルノがいたら負傷者が出なかっただろう戦いなんてざらにある。
冷酷なボスを目指すにはどうしても彼は少年だったから
少年は弱くて脆かった。
ボスとしての仮面はまるで風船みたいに少しのトゲで割れてしまう。
中身はどこまでも空っぽな中に小さくうずくまっているのだろう
僕だけに見せる弱さが、少年の本当なのだと
僕の理屈っぽい頭では到底辿り着けない答えを
僕の心が解っていた。
コイントスをして表裏で決めるより、確率が解らない。正解は解らない。
ジョルノはまだ、僕に抱きついたままだ。
それでも世界はジョルノに生きることを強いるだろうけど
僕は、
「ジョルノの嫌いな世界を、変えるも消すも、ジョルノ次第さ。僕はついていくよ」
「ありがとうございます」
こんな世界、変えてしまいましょう。
とジョルノが笑った。
君が嫌いな世界なら、消してしまっても構わないのに。
\(^p^)/
いつにもましてわからない