リリカルな裏話 A's

□プロローグ 始まりの時
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「・・・」

ひとりの少女はバスに揺られ窓越しの景色を意味もなく見つめる


―ブーブー


少女の膝には一冊の本と携帯…

携帯が小さく震え、しばらくしてまた震えた

一度目は電話、二度目はメール

少女はメールを開き、少女は微笑んだ


―――――――
From:ユウヤ

今から帰るよ!

はやても今帰りかな?

気を付けて帰ってきてね


―――――――――


少女の唯一の家族からであった



「ありがとうございますぅ」

関西弁の混じった声で降りる手助けをした運転手にお礼を言い

少女は帰路につく


少女は車イスであった


横断歩道、赤信号で止まり、先ほどの電話の伝言を聞く

少女の主治医からであった


青に変わりゆっくりと動き出す

が、3分の2行った辺りで異変が起きた


一台のトラックが突っ込んできた

運転手は居眠りをしている


「ぃゃ…」

少女の目の前に…

気づいて運転手はハンドルをきるも

もう手遅れ

「はやて!!」

いつの間にか反対側にいた少年の少女を呼ぶ声と、車イスが倒れたのは同時であった


そこに少女はいない


慌てて降りてくる運転手に、少年は一度指を鳴らした

その瞬間運転手は崩れ落ちた

「少し眠っておいて」

そう言った少年は運転手を冷たく見下ろした



少年は先ほどの少女、はやてのメール相手そして、家族の

ユウヤであった


ユウヤは顔を上げ上空を見つめる

そこには一つの魔方陣が浮き

その中心にはやてが、

目の前にはあの本が浮いていた




「ついに、始まったか」








新たな家族の誕生と、悲しい事件の始まりだった



ある夏の日のことである
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