ペルソナ4 小説

□王様ゲーム
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一体…何があったらこうなるんだろうか。


何が、どうなったらこういう風になるんだろうか。


んー…謎だ。






表向きには一応、打ち上げってことになっているけど。






何故…







何故、皆酔っているんだ?








里中はテンションが


完二とクマはなんかプロレスでもしてんのか、ドタドタしてるし、クマは"チッス〜"とか口走ってる。


それを煽るように天城がほんのりと頬を赤らめながらも拍手をしている。

りせは相棒の腕を抱き完二達をにんまりしながら見ている。


相棒と俺は…唖然。

「…相棒。酒…かなんか、飲ましたっけ?」


「い…いや。それはない筈…」


だよな…

「花村くん、月森くん!…勝負しょお〜?」


いきなり天城が言ってきた。

「しょ、勝負?」

「そ、真剣勝負〜。競うのはコレ」

じゃじゃ〜ん!


天城がこれ見よがしに掲げたものは……。














"トランプ"



「のババ抜き、王さまゲーム版!」










ええぇぇ!

なにそれ、勝手に作んなよ

「ルールは簡単。ババ抜きで勝った人が王さま。で次に抜けた人が一番…次が二番っていうふうに。因みに王さまになったら勝負がつくまで退場してもらいます」

まぁ、番号わかってちゃ意味ないよな。

…てか、俺ババ抜き弱いんだよな…。

参加しないのが賢い判断だよな。

「天城、俺は不参加d」

「強制参加です」

あぁ…やはりそうなるんですね。

「いいじゃん、楽しそうにだしぃ〜」

りせちー完全に酔ってるな、こりゃ。














と、いうことで始まった。



王さまは…誰だ……。

「…………」

唇を噛み締めながら一枚、一枚引いていく。


なんだ、普通のババ抜きなのに無駄に緊張するゲームは…!


修学旅行の王さまゲームと大差無いほど緊張感に満ちている。


俺の手札は早くもあと三枚になった。


うん、順調だ…。


ちらっ、と相棒の手札をみると相棒の手札はあと四枚。

他のやつらはそれよりいくらか多い。

このまま事が進めばなんとかなるっぽい。

「あ"〜ババ引いちゃったクマ〜!!!」

おい…そういうのは言わないほうがいいんじゃないか…?

クマ、落ち込んじゃったし。

クマの次の完二はやべぇと顔を青ざめさせた。

まぁ…引かないように頑張れ。
(他人事ですんません)


そして…ついに…王さまが…決まってしまった。








王さまは…












クマだっっっっ!





あそこから、何かのスイッチが入ったかのようにどんどんと手札が消えクマが一番に抜けた。


そして…


一番が相棒

二番が俺

三番が天城

四番が完二

五番がりせ

六番が里中

となった。



うっわ、クマのやつ…変な指示を出さないといいけど…。


「よっしぃ〜!王さま、クマ…いきまっせ〜…では早速…」

クマは立ち上がって、俺らにビシッと指を突きつけた。

「チッスをしてもらう……勿論…リップに」

げげげげ……

ど、どうしよ…あたりたくねぇ!



そしてクマが言った番号は…





「一番が二番にぃ〜チッス!」














ぎぃやぁぁぁああ!


案の定、あたりましたよ?!


マジっすか!マジなんですか!?

ってか、クマお前、一番好きだな!

「一番と二番…起立!」

俺と相棒は立ち上がる。

「むぉお!なんと、ヨースケとセンセイだったクマか!…むふ、むふふふ…」

「なんだよ、その気味悪い笑い方は…」

「いえ〜い!チッス、チッスぅ」

天城とりせと…里中が促し始めた。

拍手と歓声…

最悪だ。


いや、いやな…

相棒と…その、チッス?するのは嫌じゃないんだ。

むしろしたいな、みたいな感じなワケなんですよね。

いや、でも流石に人前でやっちゃうのは駄目でしょ…///

俺はチラッと横をみて相棒を見てみると…






相棒は真顔で、別にどうってことねぇよ、みたいな顔してる。



「よし、分かった。陽介…」

「いやいやいや、何が分かったの!!?出来ません、こんな恥ずかしいの出来ませぇん!!!」



そう言って逃げようとすると後ろから声がした。

「はぁい、みなさん、王さまの言うことは〜?」

そのクマの言葉に皆は…


「「絶対〜!」」


最悪だ。最悪だ、マジで。
これ、なんかもう逆らえない。



「陽介」

肩を叩かれた。
振り向けば相棒がいて。

「な、なななななんですか」

「するしかないよな。」

と、真顔で言ったあと決心したのかコップの中身を飲んだ。

おーおー…
やる気だねぇ。

あー…もう駄目だ。

でも、でも!ここで諦めるわけには…!


「な、何言ってんのカナ!出来るわけないだろ?!///無理だって!」

「俺とするのが嫌か?」


ぐぁぁあ///
反則だっ!なんか叱られた子犬みたいにショボンとしやがって。可愛いんだよ、チクショ///


「ちっ…ちがっ!そういうワケじゃな…」


俺が、そう否定した途端、目の前の相棒の口角が上がったと思ったら。不気味に目が一瞬輝いたと思ったら。


唇を塞がれた。

「……っん///」

はじめてのキスをこんな形でするなんて…
てか、唇って意外と柔らかいんだなぁ…。


って、何考えてんだよ!
俺はっ!///

「「きゃぁぁあ///」」

「チッス、ひゃっふ〜」

うるさい…///
クマが命令したから、それに従っただけだ。俺は。うん。

そういうことにしておく。

てか、いつまでこの状態?




俺はいまだ、唇を重ねたまま。
ぐいっ、と相棒の胸板を押すがびくともしない。
あろうことか…しかもまさか。

ベロリ。

唇を舐められた。

声も出ずに身体を跳ねさせる。

ちょ…相棒…///
まさかとは思うが…お前。











酔ってねぇか?













そのあとはご想像にお任せする。






結果。
やっぱり皆、てか俺以外酒を飲んでいたらしい。

完二が酒を間違って買ってきて、間違ってそれを皆で飲んでしまったらしい。


きっと、最後に相棒が飲んだコップの中身は酒だったのだろう。




ん〜…
腰が痛いな。







end





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