ペルソナ4 小説

□雪と俺と相棒と!
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朝…
学校に徒歩で向かう途中。

目の前には純白の景色が広がっている。

風は冷たく、その風が頬を撫でればぶるりと身体は震えた。

ふと、冬であることを改めて実感する。

寒い、とひとりごちてみると息は白くなって消えていった。

昨日初雪が降った。
夜にしんしんと降り、道は真っ白くなり、俺より先の時間に歩いた人の足跡が雪に刻まれている。
…早起きしたのに。

少しだけ、それにムッとしてしまう。

だけど少し行くとまだ誰も足を踏み入れていない雪道がそこにあって。

ぱあっと表情を明るくして俺はそばまで行く。

まだ足跡が刻まれていない雪道は太陽の光に照らされてキラキラと光って綺麗だ。

時というのは残酷で。
何もない日々を送っていると過ぎ去るのは怖い程遅いのに

いきなり自分のすべき事を見つけたりすると、また怖い程過ぎ去るのは早い。

気が付けばもう冬で。
もうすぐで一年は終わる。

この"一年"という短期間で俺は様々なことを学び、様々なことを知り。

そして、沢山の仲間が出来た。



生 死



そんなこと、深く考えたことはいままで全く無かった。

でも…。

小西先輩が死んで

人の死に直面したとき。

沢山の人間が
死んでいったとき。

人格の鎧"ペルソナ"という力に目覚めたとき。

人を助けようと決心したとき。

生死というものは
他人事ではない、ということに気付かされた。

人間というものは
いつ死んでもおかしくはないのだから。


あー、やめやめ!
暗くなっちまった!

首をふるふる降って
思考を変えた。

ざくり

足を一歩踏み出せば
雪が軋む音。

高校生になって…いまだに雪遊びかよ。

なんて言いたいやつが
いれば好きなだけ言えばいい。

いいじゃんか!
雪!雪!

雪大好き!皆大好き!

まぁ嫌いな人もいますけど…

てくてくと
俺の足跡を刻んでいく。

そして少しだけ雪を
手にとる。

冷たい雪が俺の手を冷やす。

それをただそのままボー…っとみつめていると
てのひらの雪は
簡単に溶けてしまった。

儚く、いとも簡単に。

なんだかそれが
寂しくて。

少し悲しくなってしまう。

ひゅう。
また風が意地悪をするように吹いて…また俺の身体は震える

そろそろ学校に行くか

と思い身を翻す。


すると遠くから。

"陽介!"


と俺を呼ぶ声がした。

目を向ければそこには
相棒がいた。

にひっ
と笑って、俺はまた足元の雪をすくって丸めて

相棒に向かって投げたのだった。




ありがとうの気持ちと

これからもよろしくという

感謝を込めて。




END




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