ペルソナ4 小説

□子育て体験?
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「なぁ相棒」

「どうした?」

いつものように屋上で相棒特製(愛妻)弁当を食べている時に俺は相棒に話しかけた。

「お前、高台のお手伝いでバイトしてるって本当か?」

「ん、あぁ本当だ。」

「俺も行きたい!」

「…は?」

え、何?
その"マジかよ"的な反応は…

「何でだ?」

その相棒の問いに俺は真っ直ぐ相棒を見ていい放った。

「それはただの好奇心!…それに…」

そしてぐっと拳を握る。

「それに…?」

「それに、ほら!」


バッと腰かけていた場所から立ち上がって大きな声で言った。

「いずれ俺達の間にできる子供の為に今から子育ての練習をしておかなきゃと思って!な?いい考えだろ、お母さn…」

「誰がお母さんだぁぁあ!」

「ぐほぉあ!」

俺の名案は相棒の鉄拳(愛のムチ)を食らわせられたことにより、見事無残に断ち切られた。


「言いたい事はそれで終わりですか?ア・ナ・タ…?」

相棒は俺の上に跨がり、マウンドポジションをとり背後に魔王のような禍々しい真っ黒なオーラを纏いボキボキと指の関節を鳴らして妖笑を浮かべながら言った。

おかん、怖い!


「ぎゃぁぁあ!ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!冗談です冗談です!」

慌てて俺は泣き叫びながら相棒に言った。

「でも、マジでただの好奇心なんだ。駄目か?」

「ん〜わかった…聞いてみるよ。」

「マジで?サンキュー相棒

「バイトの日は月、金、土だから丁度明日だな。」

「よっし了解!………んで、月森さん?」

「ん、なんだ?」

「そろそろ退いてくれませんかね?」

「あ、悪い」



††††††††

「こら、何してんだよ!意地悪しちゃ駄目だろ?」

ひとつの玩具を独占している児童に俺は目の前にしゃがみこんで注意をする。

「意地悪なんてしてないや〜い」

でもその児童はつ〜ん、とそっぽを向いた。

「こら、こっちを見ろ…ッわ!」

そっぽを向いた児童を叱ろうとした途端、今度は別の児童が俺の背中に乗ってきた。

「先生、おんぶしてくれよ!」

「え?!…ったくしょうがねぇな〜」

「あ〜!ズルいズルい!私も先生にしてもらう!」

「俺も俺も!」「僕も!」

「ちょっ、待てって!順番だ順番!」



「はぁ…これで全員…だよな」

「先生〜俺がまだだよ〜」


おんぶをして走らされてヘトヘトな俺は息が上がってしまった。

これで終わりかと思ったらどうやら一人残っていたらしい。

「よ、よしいいぞ。」

しゃがみこんで背中を低くする。

「わ〜い」

…なんか…この児童…声、低くね?こう、なんだか男の裏声みたいな…まぁ、いいや…。

「よーしこ…いッ!?」

ズシッ、と今までおぶってきた児童とは比べ物にならない程の体重が俺の背中に乗った。

「ぅ…よ、よし」

「先生、頑張れ〜」






…………え?

耳に入ってきた声はあの奇妙な裏声ではなく、低い低音の…

相棒本人の声がしたのだ。


まさかと思い、恐る恐る首を捻ると…見えたのは児童の顔ではなく…。



相棒の顔があったのだ。



「う、うわわわ!?///」

「さぁ出発だ!」

「出発だ!…じゃねぇよ!何でお前がのってんだよ///」

「センセイの背中、温かいクマ〜!」

棒読みのクマの真似をする、背中の相棒に俺は。

「ほほぅ…そうだろ…温かいだろ…さて、行くぞ〜」

俺は重みのあまりに震える足を無視して立ち上がる。





そして――――――



「らっしゃいませぇぇえ!」


と、その状態のまま
俺はジュネスでいつもやるように(いや、いつも以上の勢いで)腰を折り、お辞儀をした。


まぁ、大体95度ぐらい傾けて。

「ぇ、よ、ようす、けぇぇえ!!?」

相棒はその反動で俺の背中から地面に顔面から落ちていった。

しばらく地面に顔面をつけたままの体勢でいた相棒は、もそりと起き上がる。

そして俺に顔を向けた。

「…痛いんだけど?」

うん、鼻血でてるよ。

「昨日の鉄拳のお返しかな」

ニヤリと笑ってくる相棒に俺も同じように笑った。

「ふ…そんなに俺に殴られたいのかな?」

俺達は向き合って構えを取った。

「上等だ…」

これから喧嘩をおっ始めようとする俺達の周りには児童のギャラリーが溜まり騒ぎ出した。

「いけー!月森先生〜!」

「よーすけ、いけいけ!」

何故に俺は呼び捨て?


俺達は二人でこう心の中でいった。


そうだった。

「「いま、バイト中だった。」」



†††††††

「いやぁ〜…疲れたぁ」

やっと児童たちは帰り、バイトは終わった。

「本当…(今日は特に)」

「毎回こんなんだったら俺、身体もたねぇよ…」

「右に同じ」

すっかり暗くなった空を見上げる。

こんな日も悪くないな。



なんて思っちゃったり。




思わなかったり…?


end…



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