ゴッドイーター

□ウサギのストラップ
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どんな生き物にも、やっぱり終わりがあって…



それが遅いか早いかの違いだけなんだ。






「コウタ!後方支援頼んだ!!」
「わかった、任せとけって!!」

目の前には今回のターゲット、クアトリガが一匹。こいつの討伐が任務の目的だ。
俺は丁度一緒に行動していたコウタに指示を出して、神機を握り直した。

クアトリガは俺達に気が付いてミサイルポットから小型ミサイルを幾つも飛ばしてきた。
俺はすかさず其れを避けてスキを見て攻撃を仕掛ける。
血飛沫が上がるなか、俺は気がついた。

俺達がドンパチやっている場所から少し離れた所に小さな女の子が怯えながら身を隠していた。
まだ範囲外だ が、近付き過ぎたらきっとクアトリガはあの女の子に気が付いてしまう。

「コウタ、前方30mの瓦礫の影に女の子が一人いる。このままじゃ危ない…クアトリガを女の子から離すぞ!」
「!!…わかった!」

コウタは頷いて後ろに下がって行く。
俺も一度切りつけて注目させてこちらに走らせる。結構離れた所に止まった。ここなら一先ず安心だ。このまま維持できれば…の話だが。


暫く戦って、幾つか接合崩壊してぼろぼろになったクアトリガ。
なんとかなりそうだ。

「よし、一気に畳み掛けるぞ!!!」
「おう!!!」

二人で声を掛け合った。するとあろうことか、クアトリガは身を翻してさっきの女の子が居る場所へ向かってしまった。
マズイ…。

「ヤバイじ ゃんか!直ぐに追い掛けよう!!!」
「いや、待った。…きっとバレない。アイツはコンゴウと違って聴力に長けてないからな。……コウタ、俺が合図する。だからクアトリガの気を引いてくれ。俺がその間に女の子を」
「…わかった。任せるよリーダー!!」

パン、とハイタッチを交わして作戦に出た。











もしゃもしゃ、とクアトリガが食事をする音がしっかりと聞こえる。(実際はそんな可愛い音はしないのだが)
俺達は何時もより慎重に近づく。
そして二人で頷き合って……











俺がザッ、と女の子の方に走った途端、コウタは打ち合わせ通りに弾丸をクアトリガにぶっ放つ。そして俺は女の子の隣に行き、唇に人差し指を押し当 てて"静かに"とウインクする。

「おーら!!こっちだこっちー!!!」


コウタはゆっくりと後退していく。クアトリガはそれを走って追い掛ける。クアトリガが完全に遠くに行ったのを確認して俺はやっと口を開いた。

「大丈夫?怪我はない?…もう大丈夫だからね」
「ふ…うわぁぁん、怖かったよぉ…っ!!!」
「怖かったね…でももう平気だからね」

それをはじめに線が切れたように泣き出した女の子は俺に体当たりするように抱き着いてきて、俺は抱き締め返した。


「俺はヒカルって言うんだ。君の名前は?」
「ひっ、く…み…ミナ…だよ」
「そっか。ミナちゃん、これから安全な所まで行くから…俺の背中に乗って。」

こうしている間にもコウタは一人で頑張 っている。早く加勢してやらないと危ない。
俺は素直に従ったミナちゃんを背負い、任務を開始するときの敵の入れない所にミナちゃんを下ろした。

「ここに居れば大丈夫だから。でも万が一何かが来たらこれを投げるんだよ。君を守ってくれる」

俺はミナちゃんの小さな手のひらにホールドトラップを2つと閃光弾を2つ持たせた。

「そしてお兄ちゃんの名前を呼ぶんだ。絶対に助けに行くから…だからここで大人しく、ね?」
「う…うん!!」



俺はぽん、と頭に手を置いてからコウタの元へ急いだ。











「はー…!!疲れたぁぁあ…」

コウタがため息をついた。仕方ない、今回は一人で戦って貰っていたのだから疲れるのも当然だ。俺はコウタ の肩を叩く

「流石にちょっとキツかったね…でもまだ安心出来ない。まだ女の子が一人待ってる。彼処までたどり着いて終わりだ。急ぐぞ!」
「ああ!!」

ミナちゃんが無事でありますように…俺はそう強く何度も願ってミナちゃんの元に急いだ。









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