オコジョ番長 -いちばん大切なもの-
□第十話
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馬鹿野郎!何てことするんだ・・!!
あの点滴の針は、心臓の近くの大血管に直接刺さっているはずだった。
そんなものを抜いただけでも・・
あげく今は血小板が少なく、血が止まりにくい。
医者やナース達が大慌てで病院内を探し回っている中、二人は外へ向かった。
フェレット番長「俺はパチ屋見に行くから、お前は駅の方に」
コジョルー「待って!」
走り出しそうなフェレット番長を、コジョルーは止める。
コジョルー「学校・・」
フェレット番長「・・ああ」
二人は学校を目指した。
見慣れた地元の道。大して距離は無いはずなのに、今は異常に長く感じる。
息を切らしながら、ひたすら走る。
・・おめーは
・・あなたは
絶対に死なない、
・・俺が
・・私が
守る。
二人「!!」
コジョルー「オコジョ番長!!!」
学校近くの道。
夏にオコジョ番長がフェレット番長におぶられたのと同じ場所で、胸を真っ赤に染めた白い毛の動物が横たわっていた。
フェレット番長「オコジョ番長、オコジョ番長!!」
二人の声に、オコジョ番長の目がかすかに開く。
オコジョ番長「ああ・・何だ・・今日、休みじゃねえか・・・」
フェレット番長「馬鹿!しっかりしろ!」
オコジョ番長「番長が・・休みの日まで学校行くなんて・・やってられ・・ね・・ぇ」
オコジョ番長はそのまま力を失った。
コジョルー「オコジョ番長、死んじゃだめーーー!!」
コジョルーは目を閉じたオコジョ番長を揺さぶる。
コジョルー「私より、早く死ぬなんて許さないんだから・・・」
・・・
オコジョ番長は直ちに塚原医院に戻され、ICUへ入れられた。
一時、心臓が停止寸前に陥ったが、止血処置と大量の輸血でなんとか乗り切った。
しかし、その後襲ったのは40度もの高熱。
免疫力の無い状態で外に出たのはそれだけでやはり致命的であった。
様々なウイルスが、細菌が、死神のようにオコジョ番長の命を奪おうとしているようだった。
心電図が叫ぶように鳴り、人工呼吸器がポンプの音を荒々しく立てる。
シャンデリアのような点滴とスパゲッティのようなコードやチューブの中にオコジョ番長の小さな体は埋もれていた。
意識が無い状態が続き、それが数週間。その間、白血病自体の治療も中断。
気配が戻るのを感じた。
ベッドサイドにいたフェレット番長は、顔を覆うぐらい大きな透明のマスクの下で、オコジョ番長の目が少し開くのを見た。