オコジョ番長 -いちばん大切なもの-
□第七話
1ページ/3ページ
夏休みになってからも、二人は変わらずオコジョ番長のお見舞いに通った。
この日は先に、あの妹が来ていた。
オコジョ番長「やっぱ個室はいいよなぁ」
チャンプロードを読みながら呟く。
妹「イタチに単車は無理よね」
オコジョ番長「うるせーそんなこたわかってる。というかおめーのプリ載ってるぞ、ほら」
妹「まぢで!?うわホントだ」
妹「そういえばこの間ね、長谷川君にゼファー乗せてもらったわよ」
オコジョ番長「長谷川?」
妹「ホラあの、兄さんがすごい人間って呼んでたあれ」
オコジョ番長「何だとーーーーっ!!俺が入院してる間にてめーだけいいことしやがって!!」
妹「あははは。夜やかられてやばかったからねw」
オコジョ番長「アホ。でもゼファーか。くぅ〜、いいなあ」
本当、どこが重病人の会話なのか。
二人は思った。兄妹って似るんだなと。
妹「じゃあしっかり治して早く退院しなさいよね。みーんな心配してるんだから。あゆと湘南聴いて元気出すのよ。じゃあ私、そろそろ帰るわ」
CD数枚を置いて、妹は病室を後にした。
妹「はぁー・・」
次の旧車檜は兄妹で行けないのね。
オコジョって珍しいから余計な男(動物)も寄ってくる。
でも兄さんはそういう奴らから、さりげなく私を守ってくれた。
妹(兄さんがいないと不安だなんて、私もブラコンね)
そういえば、まだ兄さんが入院してるってこと、知らないひともいるのよね。
妹は携帯を出し、オコジョ番長のブログの編集ページを開いた。
この兄妹は別々にデコログでブログを作っていたが、いざという時のため、編集パスを共有していたのだ。
そして、一つの公開記事を書いた。
入院
実の妹から久々の更新
放置してた理由、そして何故私が更新したのか、それはね
いきなりだけど兄さんが入院したの
まだ知らなかったひともいると思うからこの記事に書く
みな白血病って知ってるよね
兄さんが、それなんだって
しかも病院のせんせに、一番悪いやつっていわれた
私も詳しくはよくわからないし、とにかく聞いたときはまぢびびったし泣いたけど
絶対治してまた元気な姿で戻ってくるから
みんな応援したげて
ぶらこんの妹より
yonda,comment please
再び病室。
オコジョ番長「なぁ、俺さ・・ちょっとでも治ってるのかな」
フェレット番長「なっ何言ってんだよ。当然だろ」
コジョルー「るる、きっとこれから良くなる」
以前はベッド周りに上半身分だけビニールカーテンがかかっていて、頭から空気清浄機の風を送るだけの構造だったが、今はより厳重に変えられていた。
見舞い客は部屋の中には入れるものの、ベッドの周りは完全にビニールカーテンで覆われて隔離されている。
抗がん剤による骨髄抑制という副作用のせいだった。
今点滴している抗がん剤は、骨髄を治す目的なのに、骨髄に残っている正常な細胞もやっつけてしまい血液自体がつくられなくなってしまう。
正常な白血球も死に、免疫力が弱まって危険な感染症にかかりやすくなる。
そのためここで命を落とす患者も多いという。