オコジョ番長 -いちばん大切なもの-
□第六話
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ガラガラと点滴を引きずりながら二人は廊下のトイレへ向かう。
オコジョ番長「点滴が重いから行くだけで疲れるのだ・・。おめーもこっちに来るのだ」
フェレット番長「え、あ・・おう」
一緒に個室の中に招かれる。
フェレット番長(マジかよ・・)
オコジョ番長「このカップを持て。ほら、さっさとするのだ」
フェレット番長「わ、わかったよ。さあ・・早く、しろよ///」
ふと前を見ると、綺麗な毛並みに包まれた下半身が目の前に。
カップの中に、ゆっくり注がれる。
その刺激が伝わり、何故か足の裏がこそばゆくなった。
オコジョ番長「ふぁ・・・・」
何だか変な感触・・。
狭い個室の壁が迫ってくるような。そして、まるでシェルターのように閉じられていく。
二人だけを残して、世界が沈んでいく・・。
やたら、長い。
フェレット番長「・・・・・・・」
オコジョ番長「おい、終わったのだ。計ってくれ」
カップの目盛りの数字をノートに書き込む。
スポイトで小瓶の中に入れ、あとは健康診断の検尿そのままだ。
トイレを出る。
フェレット番長は頭がくらくらした。
オコジョ番長「ん?どうかしたか?」
フェレット番長「何でもねえよ・・・」
オコジョ番長「おめーも医者に見てもらえよwここに入院すれば俺と一緒なのだ」
一緒、という言葉にドキリ。
フェレット番長(心の病院行ったほうがいいのかなあ・・)
二人は病室に戻った。
オコジョ番長「何か、だるくなってきたのだ。少し寝るのだ」
コジョルー「ねえ、私まだいてもいい?」
オコジョ番長「別にいいが、暇だと思うぞ」
フェレット番長「気にすんな、別にいいんだ」
オコジョ番長はあっというまにスースーと寝息を立てて、眠り始める。
清浄機の音だけが響く部屋で、二人は静かに話をした。
たわいの無い会話。
オコジョ番長と出会った時のことや、こんなとこがダメだとか、だけど沢山いいところもあるとか、何で頭に葉っぱが生えているんだとか、妹が可愛かったとか。
夏休みは無理でも、体育祭や文化祭は一緒に過ごせるだろうか。
退院したら、また前のように皆で学校に通って、勉強して、遊んで、プリ撮って、カラオケ行って・・。
フェレット番長「・・だから絶対、戻ってこいよな」
コジョルー「うん、早くよくなって」
この思いが、届きますように。
・・・