オコジョ番長 -いちばん大切なもの-

□第一話
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オレは番長、オコジョ番長

強いぜ悪だぜハートが熱いぜ

俺に歯向かう奴らには

キックだパンチだ噛みつきだ

なんてな。

お前は自分で言うじゃないか、

番長だ。最強のオコジョだ。俺に出来ないことは無い。

だったら大丈夫だろ?余裕だろ?

お前が俺の前からいなくなるなんて、許さねえからな。

わかってんだろーな、オコジョ番長。

・・・

ここはとある小さな村の、人間、動物、共学の学校である。

オコジョ番長「あっちい〜、扇風機扇風機」

季節は夏。体育を終えた後で、教室に戻った男子らが着替えている。

ゴオオオオ

オコジョ番長「ふう〜〜、何でこの学校にはエアコンが無いのだぁ」

「はーっはっはっは!」

ガチャ!!

全員「フェレット番長!!」

オコジョ番長「うぉあ!?着替え中に入って来んな!」

フェレット番長「動物の癖にエアコンだと?笑わせてくれるぜ!」

オコジョ番長「何ィ!!」

槌谷「ん?ちょっと待って」

オコジョ番長「何だよ」

いつもなら恒例の言い争いが始まるところだが、槌谷の一言でそれが制止される。

槌谷「オコジョ番長、それ・・」

槌谷が目にしたもの、それは扇風機の風になびく毛の中に見えた、皮膚の班点である。

さらに槌谷が毛を掻き分けると、皮膚には痣のようなものがいくつもあった。

ゆうた「な、なにこれ!どうしたの?」

フェレット番長「おめー変な物でも食ったんじゃねーの?」

オコジョ番長「おう、これか?実は結構前からあるのだ。変な物を食ってはいないと思うが・・まあ痛くも痒くもねーし、きっとそのうち治るのだ」

トモコ「ねえ着替え終わったー?女子入っていいー?」

オコジョ番長「おーう、5秒待ってくれー。・・・よし、いいぞー」

その後、いつもと変わらず次の授業が始まった。

だが槌谷は気になった、オコジョ番長の体の班点や痣・・。

そして隣のクラスのフェレット番長も、同じことを考えていた。

そういえばここのところ、少し体調が悪そうだったような、と。

オコジョ番長「はぁ・・・はぁ・・・」

コジョルー「るる。オコジョ番長、様子が変」

キツネ先生「ん?どうした、大丈夫か?」

トモコ「オコジョ番長、顔色悪いよ?」

ママ「保健室行く?」

オコジョ番長「ああ、そうさせてもらうのだ・・」

・・・

昼休み。

トモコ「先生、オコジョ番長は??」

サエキ先生「ん〜、少し熱があるみたいでね、今日は帰したよ」

ゆうた「ええっ?そんな、大丈夫かな」

フェレット番長(あいつが早退?珍しいな)

サエキ先生「まぁきっと、あのオコジョくんだから大丈夫だろう。そんなに心配することはないさ」

槌谷「・・・・・」

翌日以降、オコジョ番長は普通に学校に顔を出した。

まだあまり体調は優れないようだったが。

フェレット番長「おめー大丈夫なのかよ?病院行ったのか?」

オコジョ番長「病院?そっそんなもの俺には必要ないのだっ」

フェレット番長「嫌いなだけだろ・・。まっ、おめーの体なんか知ったこっちゃねーが、俺に変な病気うつすなよな」

オコジョ番長「なっ!ひとを菌のかたまりみたいな言い方すんな!!」

・・・・どうして俺は、この時もっと強く言ってやらなかったんだろう。

まさか、あんなこととは縁のカケラも無さそうだったこいつが・・・

・・・

数日後

期末テストも終わり、もうすぐ夏休み。

皆の心も浮かれる。

この日も変わらぬ日常が幕を開けるはずだった。


フェレット番長「よっ、オコジョ番t・・、!!?」

オコジョ番長「ハァ・・ハァ・・、お、おう」

フェレット番長「お、おまっ・・どうした!?大丈夫か!?」

いつものように登校中だった、しかしそこで見たのは、顔面蒼白で呼吸を荒げ、今にも倒れそうなオコジョ番長の姿だった。

コジョルー「おはよー。あ、あれ?オコジョ番長どうしたの!?」

オコジョ番長「ハァ・・ハァ・・さっきまでは、こんなことなかったんだが・・、貧血・・なのかこれは・・」

フェレット番長「歩けるか!?苦しいのか!?」

遂に地べたにペタリと座り込んでしまう。

コジョルー「るるる、どうしよう、どうしよう」

フェレット番長「と、とにかく学校まで・・!」

フェレット番長はオコジョ番長をおんぶし、周りの異様な視線に目もくれず走り始めた。
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