ご夫婦の部屋
□パパラッチ
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今晩は俺とシヌは同室だ。
部屋に戻って、サングラスを外し髪をほどこうとする俺を、シヌがちょっと待って、と制止する。
「せっかくそんな面白い格好してんだからさ、写真撮っとこう。」
そう言って、シヌが携帯を取り出す。
え、マジで?なんて返しながらも、俺も結構ノリノリで。
シヌは写真を撮るのが趣味みたいなもんで、シヌの携帯にはメンバーの色んな姿がおさめられている。
中でも、俺の写真が一番多いんじゃないかな?
こういう関係になるずっと以前から、付き合いも長くて一緒にいることも多かったからか、昔からシヌは俺の写真をよく撮っていた。
こんなのいつ撮ったんだっていう、作業中の姿とか、寝顔とか。
俺も写真撮られるのは嫌いじゃないし、むしろ自分で撮るよりシヌが撮ってくれるほうが格段にいい映りだったりするもんだから、いつも好きなように撮らせていた。
それをシヌがツイッターに上げれば、ファンも喜んでくれるし。
そういうシヌ自身は、写真撮られるのが苦手であまり撮らせてはくれないんだけど。
「サングラス外したのも撮っとく?」
何枚か撮った後、シヌが言った。
「んー、でもメイクしてないしなー。それ、ツイッターに上げるかもしんないんだろ?」
「それは分かんないけど…スッピン撮られんの、嫌?」
デビュー当時はそうでもなかったけど、最近は濃いアイメイクをして人前に出ることが多くなった。
だからか、素顔を晒すのが妙に恥ずかしくなってしまった。
今なら、スッピンを頑なに見せたがらない女の子の気持ちが少し分かる。
「どうしても嫌ってわけじゃないけど、ちょっと抵抗はあるかな。自分でもメイクした顔に慣れ過ぎてて。」
「俺は好きだけどな。」
「え?」
「無防備な感じっていうの?男はそーゆうのに弱いだろ。」
「ふーん。」
気のない相づちをしながらも、内心俺は嬉しかった。
それって、飾らないありのままの俺を好きだって言ってくれてるみたいで。
「それに、スッピンだとこうやって触りたい放題だし。」
そう言って、俺のサングラスを外し、プニプニと頬っぺたを摘まんでくる。
普段シヌはあまりこういうことはしてこないから、なんだか少し照れくさい。
「ジニョンは肌綺麗だから、触り心地いいし。」
「それはどうも。でも最近調子悪いよ。」
「確かにちょっと乾燥してるかな?ちゃんと手入れしてる?」
シヌが頬を撫でながら、尋ねてくる。
さらさらとした手の感触が気持ちいい。