短編

□名前
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『―――って感じで....』


「....なるほど.....」




とりあえず甘えて相談してみた。

真剣な顔して聞いてくれてるから、ちゃんと真剣に考えてくれてるんだなって安心する。




「....なぁ〜んだ。名前、そんなことか〜」

『えっ?』



「あ、いや、なんでもねぇよ。じゃあこっちもやってみっか?」




『...な、何...』








「嫉妬、させてみようぜ?」





『...え?』



...嫉妬....とは...?




私の疑問をそっちのけで話を進める彼の顔は







何か面白いモノを見つけたかのような顔をしていた。










***










さっき木吉くんに『日向くんを見ると熱くなる、鼓動が早くなる』と相談した。


すると木吉くんはボソッと何かいったが聞こえなかった。


そのあと『日向くんが私のことマネージャーとしか呼んでくれない、苗字すら呼んでくれない。嫌われてるのかな』と続けて相談した。


するとまた木吉くんはボソッと何かいったがまた聞こえなかった。





で、結果、日向くんに嫉妬させてみよう作戦となった。





嫉妬するのか、何て疑問に思ったけど木吉くんは私の話を真剣に聞いてくれてたから、真面目に考えた結果なのかなと、やってみようと思う。





部活が終わり、皆が息を切らしてその場に座り込む。

それと同時に木吉くんは私の方を見るなり声をかけてきた。



「名前〜!喉乾いた〜」

『..はぁ....まったくもぉ....』




そういって自家製のスポドリをクーラーボックスから取り出し、彼のもとへと近づき、はい、と、手渡す。



「ん、ありがとな」

『あ、今日のそれはちょっと特別だよ』

「...おっ、何かスッキリする」

『でしょ!"鉄平"くんに飲ませたかったの!』

「てっ....!?」

「ん?」

『えっ?』



"鉄平"っと言った瞬間突然どこから間抜けた声が聞こえた。

誰かかはわからなかった。皆の方を見ても皆が間抜けた顔をしていたから。


代表してコガくんが私に話しかけてきた



「あ、あれ、名前ちゃんって木吉のこと名前で呼んでたっけ?」

『え?ううん、呼んでないよ?』

「...じゃあ..なんで?」

『成り行きで!』

「名前名前」

『?』



すると突然、木吉くんから耳貸せって言われてしゃがんで耳を貸す。


木吉くんはチラッととある人を見ると


「見てみろ、アイツの顔」


と、言われた。




のでその人をチラッと見てみると





『(こわっ!!)』




何かもう表し用のない怖い顔をしていた。




「〜っ、木吉!ちょっと来い!」

「いだだだちょ、ひゅーが?いたっ、日向っ!」



日向くんが怒鳴り、木吉くんの耳を引っ張りながら体育館の端へ連れて行った。


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