短編
□ありがとう
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私は直ぐ様バイクを捨て、その輪に走り向かう。
『ぃっ、伊東さん...!』
「ぇ、あっ!名前ちゃっ...!」
今にも泣きそうな声で伊東さんを呼びながら駆け寄ると、近藤さんに腕を掴まれ止められてしまった
『何でっ...!離して下さい!伊東さんが....伊東さんが!手当てしないと...!』
「......っ」
なんで.....なんでそんな顔するの?
なんで伊東さんを手当てしないの?
伊東さんが....
『っ...離してっ...うっ....っ...』
私が泣き崩れると
好きな人の、優しい声が聞こえた
「...すま、ない....名前くん、...そこで見ててくれ.....っぐ.......」
そんな....
そんな必死に言われたら
断れるわけないじゃない....
『..........っ、はいっ.....』
私は涙を拭って、しっかりと伊東さんを見つめた。
そして二人は再び向き合うと、刀を構えた――