短編
□声援
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体育館にボールの弾ける音が響く。
彼らはバスケ部
冬のW.Cに向けて今一番練習をしている
あのとき約束した
"日本一"になるために...
そんな彼らを端のベンチに座って応援している私はマネージャーでもなんでもないただの待ち人。
誰を待ってるか、なんて
わかると思うけどバスケ部員の中にいる、私の彼。
でも今、忙しいときにいちゃいちゃーとか出来ない。
してほしくない。
ちゃんと、W.Cに向けて練習してほしいし、こうやって頑張ってる彼の姿に、私は惚れたのだから。
まぁ自分の体をもっと大切にしてほしいけどね。
膝、痛めてるんだし
今年で最後かもしれないんだよね、皆とバスケが出来るの。W.Cが終わったら、またリハビリするから出来ないんだって。
それだったら尚更、W.C優勝させたいじゃない。日本一にさせたいじゃない。
なのに私はなんの役にも立たない
だからせめて
『木吉くん!』
「んー?どうしたー?」
『頑張ってね!大好きだよ!!』
一生懸命応援するから。
あなたの心の支えになれるよう私も応援頑張るから。
「...おぅ!サンキュー!名前のお陰で気合い入ったぜ!俺も大好きだ!」
そう言って微笑んでくれる彼が大好きなんです。
その笑顔も支えたいから
これからも頑張って応援するの。
「いつもありがとな。名前...」
そう呟いた言葉は
日向の怒声によって誰にも聞かれることなく消えてしまった。
だから、また今度改めて言わせてもらうよ。
W.C、絶対優勝する、日本一になるから
それまでずっと俺のそばで
応援しててくれ。
お前の声援は俺の心の支えだから
俺はこれからも頑張っていけるんだ。
『ずっと応援してるからね、鉄平くん』
帰りがけ、そう言ってきた彼女を
俺は優しく抱き締めた。
*end