頂き物
□Eの悪戯
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気がついたら何処かの密室に閉じ込められてい た、なんてありがちな話。 …ありがちな話なんだよな、これ。 これ、と言った時点で分かるだろうが、実は俺た ちは…
物凄く広い密室に、閉じ込められてしまったの だ。 俺たち、ということで一人ではないことがお分か りだろう。だって隣で誰か倒れている。
「…剣城?」
しっかりしろ!大丈夫か?と、声をかける。なん だか、酷くぐったりとしている。
「…ぅ、ぅん…あ、神童先輩?」
「お、気がついたか。此処が何処だか分かる か?」
「何処って…あれ、そっか、俺…急に意識が遠の いて…」
「剣城もそうか。それより、顔色が悪いが…」
「…大丈夫です。ちょっと頭が痛みますが。」
「…大丈夫じゃなさそうだな。無理はするなよ。 」
「はい…それより、どうします?」
不安そうな表情を浮かべる剣城。密室だって分 かったのは、俺たちが倒れていたすぐ近くにあっ た机の上を調べれば分かる。
「剣城、まずこれをみてくれ。」
「紙に何かかいてありますね…何々…」
『僕はE。君たちを閉じ込めたものだよ〜♪ここ から脱出でっきるかっな〜?ま、泣き虫君と、体 調が悪い子には無理だろうけどネ!玄関の鍵を見 つけられたら脱出成功さぁ☆んじゃバイビー♪』
…果てしなくうざい文章を書いた奴に、俺たちは 閉じ込められたわけだ。俺たちのことを馬鹿にし ている。とにかく此処から早く脱出しないと、剣 城の容態も悪化するかもしれない。何としてでも 脱出せねば。
「…神童先輩。俺、足を引っ張るかもしれないで すけど…すみません。」
「何言ってるんだ!此処は二人でしか出来ないこ とがあるはずだ!一緒に頑張るんだ!いいな?」
「はい…あの、」
「ん?」
「俺たちを此処に閉じ込めた人、恐らく円堂監督 かと。」
「本当か?」
「神童先輩が泣き虫なことを知ってるのは、神童 先輩の知り合いでしょう?あと、Eって書いてあ りますし。」
確かに、剣城のいうことは筋が通っている。頭い いな。まあ、此処はそんなに危険ではないことが 分かった。
「そうか。見つけてくれてありがとう。助かった ぞ。(ナデナデ」
「あ、いえ…(気持ちいい…)」
「よし剣城、立てるか?」
「大丈夫です。…よいしょ。」
「可愛い…)じゃあ、いこうか。」
「はい。」
一応、この部屋には『桃のゼリー×2』と『ス プーン×2』があった。隣には、大きめのバッグ がご丁寧においてある。これも持っていくことに しよう。
俺の隣を歩く剣城はやはり辛そうで、何処か休め るところも見つけておきたい。俺たちは、ひとつ 目の部屋に足を踏み入れた。