短編
□犯した罪は…〈後編〉
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〜神童宅〜
カチャ キィー
「あっ!円堂監督!」
「剣城は…!」
「……とりあえず手当ては終わった。もうはいっていいぞ。」
円堂監督の言葉に、俺達はおそるおそる剣城がいる部屋の中にはいった。
ここはキャプテンの家で、剣城が倉庫で倒れたあとに一番家が近いということでキャプテンの家にきたのだ。
そしていま剣城は、キャプテンの自室のベットに寝ていた。剣城は静かな寝息をたててねむっている。
着替えにとキャプテンが貸した服はサイズがあっておらず、襟のところなどから白い包帯がチラチラ見えた。
包帯をしていないところから見える青紫色の痣やかすり傷が痛々しい…。
「円堂監督…。剣城は大丈夫なんですか?」
三国先輩の言葉に、円堂監督は少し間を開けてから口を開けた。
「……みてもわかるように傷や痣は酷い。でも他に目立つ傷はないし、骨にも以上はなさそうだからもう大丈夫だろ。」
円堂監督の言葉に皆が胸をなで下ろした。それは俺も例外ではない。
「よ…よかった〜。」
俺は床に座り込んでしまった。
「うわ〜天馬君はよほど剣城君が心配だったみたいだね〜。」ニヤニヤ
「当たり前じゃん!そういう狩屋だって半べそかいてたじゃないか!」
「なっ!?か、かいてねぇ!///」
「かいてた!」
「かいてねぇ!」
「二人ともうるせぇよ!」
ドゴッ!
「「いってぇ〜!!」」
「倉間先輩なにするんですか!」
「うるせぇ!剣城が寝てんだろ!起こすきか!」
「……なぁ速水?」(小声)
「なんですか?」(小声)
「今の倉間も充分うるさいってこと突っ込んだ方がいい?」(小声)
「……サインドワインダーくらいますよ。」(小声)
「だよね〜。やめとくわ。」
「?…どうした浜野。何をやめとくんだ?」
「んー?なんでもないよー神童。」
ぐぎゅるるるるる………
「……今の音、天城か?」
「す、すまんド…。剣城が大丈夫だと分かったらまた腹減ってきたド…。アハハハ…。」
「そう言えばもうそんな時間ですね…。どうします?食べていきますか?」
「「「いいド(んですか)!?」」
「ひ、輝?」
キャプテンの言葉に天城先輩はともかく輝が飛び付くとは…。
「キ、キャプテン!お菓子とかありますか!」
「食後にケーキはでるが?」
「「「食べたい(ド)!!」」」
狩屋も!?
そう思っていると、俺のお腹もぐぅ〜と音をたてた。
「フフ…。皆お腹が空いているようだし、すぐに用意させますからどうぞ食べていってください。」
キャプテンの言葉に皆が頷く。
「じゃあ剣城はもう少し寝かせといてやろう。お前たちは先に食堂にいってくれないか?俺は剣城の様子を見てるから、晩飯ができたら呼んでくれ。」
円堂監督に言われて、皆部屋を出ていく。
「あっ!あと親御さんには連絡しとけよ!」
円堂監督の言葉に皆は慌てて携帯を取り出した。よっぽど剣城が心配だったんだな……、俺もだけど。
俺も携帯を取り出して、電話帳から「秋ねぇ」を選ぶ。
ここで電話をかけたら迷惑だと思ったから、俺は廊下を真っ直ぐにすすんで庭に出た。既に何人かの人が電話やメールをしている。
俺も秋ねぇに電話をかけた。
トュルルルル(ピッ
『はい。こちら木枯らし荘です。』
「あっ…、秋ねぇ?俺だよ俺。」
『…うちにはおれおれ詐偽の人はいません。失礼します。』
「うそ!!ごめんなさい!切らないで!天馬だよ!」
慌ててそう言うと、受話器の向こうで秋ねぇが笑っているのが聞こえた。
『分かってるわよ。ちょっとからかっただけ。でも帰りが7時過ぎるなら連絡しなさいっていつも言ってるわよね?』
「ごめんなさい…。ちょっと色々あっていまサッカー部の皆とキャプテンの家にいるんだ。それでこのあと夕飯を食べていくことになったんだけど……。駄目かな?」
『………しょうがないわね。あまり迷惑をかけないようにね。あと次からは必ず連絡して。分かった?』
「うん!ありがと秋ねぇ!」
『どういたしまして。じゃあ帰りは気を付けてね。』
「うん!バイバイ。」
俺はそう言って電話をきる。
同時にキャプテンから、食堂にいくと声がかかったので俺達は食堂に向かった。