緑の巻物

□反抗期
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第2のパプワ島――。

今日も今日とて、使用されることのない、友達の食器を磨く男が1人…。

「はぁ…これ以上食器が増えたら…わてら寝るとこなくなってしまいますなぁ…トージくん」

困ったように溜め息を吐きながらも、何故か嬉しそうなアラシヤマ。

そこへ必死の形相でリキッドが駆け込んで来た。

「アラシヤマ―――!!」

「…なんどすのん?騒々しい…」

「マーカーが…マーカーが!!」

息を切らしながら、アラシヤマに伝えようとするリキッド。

アラシヤマは師匠の名を聞いて、顔色を変えた。

「師匠がどないしたんやッ!?」

リキッドの腕を掴み、詰め寄るアラシヤマ。

とにかくシシマイハウスへ来てくれ、と言うので、リキッドと2人、シシマイハウスへ向かって走り出した…。





「な…お師匠はんッ!?」

シシマイハウスに着くと、ハーレム、ロッド、Gが深刻な顔をしていた。

アラシヤマの師マーカーは、青白い顔をしてベッドに横になっている。

ふらつく足をなんとか動かしながら、アラシヤマはベッドへと近付いた。

腰が抜けたように座り込み、師の顔を見る。

寝顔は何度か見たことはあったが、今、目の前にある顔は弱々しい感じがした。

…強い師匠しか見たことがなかった。

いつでも強く、厳しく、冷静で…。

こんな弱々しく横たわる師匠など、初めて見た…。

「…一体…どないして…?」

マーカーの頬の傷に震える手で触れながら、アラシヤマはそう呟くのがやっとだった。

「原因がさ…わからないんだよ…」

アラシヤマの後ろでロッドが言う。

いつもの明るく軽い口調はどこへやら、深刻そのものの声だった。

それはハーレムも同じで…。

「突然倒れちまったんだ…驚いたぜ…」

突然倒れた…?

そんなこと、有り得ない。

そう言いたかったが、声が出なかった。

戦場はおろか、修行中でも倒れたことのない師匠が…。

「……これを…持っていた…」

Gがアラシヤマに差し出したのは、ワラ人形。

『師匠』と書いた紙が貼ってあり、釘が打ち付けてある。

「あっ…!これは…わてがいきなり蛇炎流で燃やされた腹いせに作ったワラ人形…!」

「それ…日本で人を呪い殺す時に使うヤツじゃ…?」

リキッドが恐る恐る言う。

「た…確かに…これは人を呪い殺す時に使う人形どす…。そやけど…こんな効くか効かへんかわからへん不確かなもんに、師匠がやられるわけあらしまへんやろ?毒を盛っても平気なお人やのに…」

「毒!?」

穏やかでない単語に、4人は一斉に反応を示す。

「そうどす…あれは12の時やったかなぁ…」

アラシヤマは記憶を辿りながら、語り始めた…。
 
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