緑の巻物
□トモダチ
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師匠がこんなところを見たら、怒るだろうか…。
『士官学校へ行くのも修行のうちだ』と言っていた。
でもつまらないものは、つまらない。
だから仕方がない。
アラシヤマは今、授業をサボっていた。
最近見つけた、倉庫のような小さな部屋。
4階の一番端っこ。
風通しもいいし、陽当たりもいいのが気に入っていた。
「…アホらし…」
窓から見える、抜けるような青空を見て、呟いた。
なんで自分はこんな所にいるのか。
わざわざこんな所に来なくても、師匠の元で充分鍛えることはできたのに。
『士官学校を二位で卒業しろ。そうすれば無条件で特戦に入れる』
隊長がそう言っていた。
首席はガンマ団総帥の息子のために譲ってやれ、というのだ。
「…アホらし…」
アラシヤマが二位を維持するためには、相当力を抑えなければならなかった。
周りは皆弱すぎて…話にならないのだ。
体術の基礎も、組み手の基礎も、みんな身につけている。
今さら、必要ない。
だから、こうして授業をサボる。
クラスで一人浮いてしまっていても、弱いヤツラに話を合わせたりはしなかった。
「…はぁ…」
アラシヤマは溜め息をついて、棚に寄りかかった。
「…痛…ッ!?」
すると棚が大きく揺れ、何かが落ちてきた。