赤の巻物
□手紙
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「忘れ物はねぇか、アラシ?」
ガンマ団特戦部隊専用ルームにて。
特戦部隊隊長のハーレムは、荷造りをする幼子の傍らに座っていた。
アラシヤマ、7歳。
ここへ来た当初は、手も足も食も細く、まだ修行はできない状態だった。
だが、特戦部隊の親バカ達に囲まれて過ごしていくうちに、ようやく一般の7歳児並になり、ドクターから修行の許可が下りた。
明日からアラシヤマは師マーカーと、山での修行生活に入る。
「そのクマも持ってくのか?」
「へぇ…ずっと一緒に寝てたさかい…一人ぼっちにしたら可哀想やもん」
Gがアラシヤマのために作ってやった、クマのぬいぐるみ。
ふかふかしていて、お気に入りだった。
「ん?それは…?」
なんだその、色盲検査図みたいな、派手な柄のTシャツは…!?
「あ、これ、ロッド兄はんとお揃いなんどす。こないだ買うてくらはったんや」
2人でお出かけする時は、これ着ようね。
そう言って笑って、ウィンクをして。
でもそれ以来、ロッドと2人で出かけることはなかった。
…なぜだろう…?
「これで全部か?」
「…へぇ…たぶん…えぇと思いますわ」
アラシヤマはバッグの中を確認しながら言った。
まだ入るスペースあるな、そのバッグ…。
「よし!アラシ、ちょっと待ってろ!」
ハーレムは何かを思いついたようにそう言うと、アラシヤマの部屋を出て行った…。