赤の巻物
□虹の端
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師・マーカーとの修行生活も数ヵ月が過ぎた。
アラシヤマはまだ小さいながらも随分体力がつき、どんなに厳しい修行でも弱音を吐かずについてきていた。
風の日も、雨の日も、欠かすことのない鍛練。
しかし、今日はかなり雨が強くなってきている。
雨の中で任務を遂行しなければならないこともあるが、今はそこまでやることもないだろう。
そう判断したマーカーは修行を中止した。
「よく体を拭いておけ。風邪をひくぞ」
「…へぇ」
濡れた服を脱ぎ、髪を拭いていると、外から賑やかな声が聞こえてきた。
そして、ノックもなしに玄関が開く。
「うは〜…すげぇ雨だな!」
「おかしいっすね〜…天気予報じゃこんな雨になるなんて言ってなかったんすけどね〜」
「………ん」
大きな箱を担いで現れた、上司と同僚二人。
「…隊長…」
「隊長はん!」
迷惑そうに呟くマーカーと、嬉しそうに駆け寄るアラシヤマ。
「おぉ〜アラシ!元気にしてたか!?」
「へぇ、元気どす」
満面の笑みでハーレムはアラシヤマを抱き上げる。
マーカーが弟子にして以来、甥っ子二人よりもアラシヤマを我が子のように可愛がっていた。
それはロッドもGも同様だった。
「外で修行してたのか!?体が冷えちまってるじゃねえか。おい、マーカー、風呂沸かせ!アラシが風邪ひいちまう」
「…わかりました」
「いいねぇ、お風呂♪アーちゃん、お兄ちゃんと一緒に入…」
「蛇炎流!!」
「うぎゃ〜〜〜!!」
アラシヤマに近付こうとしていたロッドは容赦なく燃やされた。
「ロッド兄はん!」
「乾かしてやった上、暖めてやったんだ、ありがたく思え」
冷ややかに言うと、マーカーは風呂を沸かすべく部屋を出た。