白の巻物
□飴湯様とのコラボ拍手
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《君+僕=》
「グンちゃんはすごおすなぁ…!」
アーちゃんは、いつも僕にそう言ってくれる。
僕が色々な漢字や英語を読めるのがすごいって。
本当に嬉しそうに言ってくれる。
だけど僕はアーちゃんの方がすごいと思う。
高い木にもスイスイ登れるし、転んでも絶対泣かない。
「ねぇ、見つかった?」
高い木にひっかかっちゃったボールを探すアーちゃんに、僕は下から呼びかける。
「ん…もうちょっと…、……届きましたえ!」
枝の中に手を伸ばして、ボールを弾く。
「やったぁ!ありがとう、アーちゃん!」
降りてきたボールを取ろうと追いかけると。
「あッ…!」
「グンちゃん!」
僕は何もないところで転んでしまった。
「大丈夫どすか!?」
「〜〜〜〜……」
木から身軽に降りてきたアーちゃんが心配そうに駆け寄ってきてくれたけど、僕は泣くのを我慢するだけで精一杯。
「グンちゃん、泣きたい時は泣いた方がえぇてロッド兄はんが言うてはりましたえ…?」
「〜〜〜……」
泣くわけにはいかないよ。
僕だって男の子だもん。
でも…痛い…。
「あ、そや!」
何かを思い出したように言って、ポケットの中から差し出してくれたのは、イチゴの模様のバンソウコウ。
「これな、痛いところに貼ると痛なくなるんやて!」
ロッド兄はんがくれましたんや…と言いながら、僕の傷に貼ってくれた。
「…………」
血が見えなくなったら、痛くなくなったみたい。
「どないどすか?」
それにイチゴが可愛くて。
「うん、痛くない!」
僕が笑顔で言うと、心配そうなアーちゃんの顔も笑顔になった。
「良かったどす〜!」
「ありがとう、アーちゃん!遊ぼ!」
今度は転ばないようにね、と言い合って僕達は再び遊び始めた。
イチゴのバンソウコウの魔法みたいやな、てアーちゃんは言ったけど。
僕はアーちゃんの方が魔法みたいに思える。
アーちゃんがいると、強くならなきゃ、て思う。
アーちゃんが笑うと、僕まで笑顔になれる。
何だかとっても不思議で嬉しい。
君と、僕は、…ずっと友達。