影を指す光
□はじめのお話
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「えっ!!転校!?」
いきなり春に転校のことを言われた平助は初耳だったのか驚いた顔をしている。
そのとおり私は平助を含めてみんなに今日初めてそのことを言う。
『そう…ごめんね平助同じ高校に折角行ったのにこんなところで転校なんて…』
「どうして、いきなりなの!?もっと早く言ってくれればいいのに…。」
千鶴が悲しそうに目を伏せる。
「やっぱ、言ったの親か…。」
『うん…』
千鶴と平助とは幼馴染で、昔から何をするにしても一緒だった。
そのため、二人は私のいわゆる家庭内事情をよく知っている。
「やっぱり、春ちゃんが最近元気がなかったのはそのせいか。」
悲しそうな顔でそう言うのは剣道部の先輩の沖田先輩。
彼は、私の事情を知っている人の内の一人だ。
「で、何処の学校に行くんだよ」
不機嫌な顔で平助が問う。
『誠凛高校。』
「へ〜。あのバスケで有名な新設校か」
沖田は驚いた顔する。
私も最近知ったのだが、先輩が言う通り誠凛は去年、関東大会に出場するほどの強豪らしい。
今年、強い人を獲得した…とか。