last night

□第三十四夜
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まさかの大地に続き、レイまでもが負けた今、Gレボリューションズは二連敗。

もう後がない。

何としてでもこの流れを止めたいマックスに、そのプレッシャーは当たり前のように重くのし掛かる。










「ウップス!?」

顔を洗って気を引き締めたマックスは、扉を開けると同時に誰かにぶつかってしまう。

「エクスキューズミー・・・・・・って、ヴォルコフ!?」

「これはこれはマックス君。・・・・・・丁度いいところに。」

「何が丁度いいネ!?」

「・・・単刀直入に言おう。このままでは面白くない。必ず一矢報いてくれよ?」

「っ、も、勿論ネ。」

「無論、こちらも手を抜く筈は無いが。」

「バカにするなー!!」

「馬鹿になどしてない。君へのエールのつもりだ。無傷の三連勝、あまりにもドラマがない。あまりにも呆気なくて、私が不正をしたと思われかねないからな。」

「っ・・・!!」

清廉潔白なこの私が。

そう言ってヴォルコフは肩を震わせた。



そうなのだ。

今回、BEGAは卑怯な手を使わず、真っ直ぐに戦っている。

だからこそ、最も勝ちにくく、目の前のヴォルコフが益々憎らしいのであるが。

「・・・用が無ければ行くネ。」

一刻も早くその場から立ち去りたいマックスは、そんなヴォルコフを横切ろうとした。

しかし、

「大方の予想は、ミステルが優位だが、そんな予想を吹っ飛ばしてくれよ。・・・・・・まぁ、その方が、選手不足で敗退するよりは、よっぽど潔い敗けだとは思うがね。」

「っ・・・・・・!!セツナちゃんは、必ずカイを連れてくる!!何倍も強くなって・・・・・・だから、ボクだって負けない・・・!!」



言霊に囚われぬよう、マックスは全力で地面を蹴り、仲間の元へ帰っていった。



・・・しかし、そこで思いもよらぬトラブルが起きる。



「シュミレーションでは、やはりポセイドンの攻撃力がドラシエルの防御力を上回っていますね・・・。」

「今回ばかりは戦法を変えた方がいいんじゃないか?」

モニターを見て戦略を立てる中、そんな話の流れに、マックスの表情は曇っていく。



「・・・・・・皆、勝手なことばかり・・・・・・。」



「なぁ皆。ちょっと待ってくれよ。熱くなるのもいいけどさ、戦うのはマックスなんだぜ?」

「あ・・・そうだなマックス。お前はどうしたい?」

「・・・・・・ボクって、信用ないネ。」

「マックス?」

「皆も、ボクがミステルに勝てないって思ってるんだネ?」

「師匠、何言ってるんだ?」

「・・・ボクは、このスタイルで戦って来たネ。それなのに・・・っ、皆に、何が判るネ!?」

「あっ・・・!!」










堪らず部屋を出たマックスを追えるものは居なかった。

・・・・・・ただ一人を除いて。











「・・・皆勝手なんだから。・・・でも、ちょっと言い過ぎたネ・・・。」

大事な試合の前に乱された心は、そう簡単には治らない。

自己嫌悪に陥り、マックスは前髪をぐしゃりと握りしめた。

・・・この場にもしもセツナが居たら、カイが居たら、結果は変わっていただろうか?



・・・・・・ううん。

例え二人が居たとしても・・・・・・。



悩むマックスの肩に、不意に大きな手が触れる。

「っ、り、リック!?」

「・・・・・・ちょっと面貸せや。」











連れてこられたのは食堂だった。



「・・・みっともねえなぁ。皆に当たり散らしてよ。」

「当たり散らす・・・?そうさせたのはそっちネ!!ボクが負けたら本当に終わりなんだよ!?それなのに・・・っ、勝手なことばかり言って!!・・・不安にならない筈無いヨ!!」

「いつもの防御スタイルじゃ、ミステルにお手上げってことか。」

「そうじゃなくて、防御スタイルじゃない方が、勝算があるんじゃないかって話ネ!!」

「・・・・・・防御スタイルを捨てるのか。」

「・・・・・・・・・・・・。」
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