last night

□第三十二夜
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チャンピオン・木ノ宮タカオの後に続いて入場してきたメンバーを見て、ブレーダーDJは勿論、観客も戸惑いの色を浮かべた。




「きっ、木ノ宮選手?そちらの代表選手は・・・、」



タカオ、レイ、マックス、そして大地。

何度数えても、四人だ。

「っ、六人だ!!」

「いや、どう見ても・・・。」



そんなやりとりをする彼等を見て、ヴォルコフは短く息を吐き出した。

「おやおや、ここで選手を揃えられなかったということは、やはり失敗しましたか、土崎セツナ・・・。」

「・・・・・・。」

その隣ではブルックリンが未だにムスッと膨れており、寝転んでいるベンチが小刻みに揺れていた。

ブルックリンがここまで露骨に表情を表すのは珍しい。

よほど、あのセツナという少女が気に入っていたのだろう。



「まだむくれているのか、ブルックリン。」

「・・・・・・ガーランドにはわからないよ、僕の気持ちなんて。」

「ああ、わからんさ。だが、試合にまで持ち込むな。」

「・・・・・・ちぇ。」

小さく呟くと、ブルックリンはいよいよ目を瞑った。



・・・・・・セツナ、わかってはいたけど、思い通りにならないな・・・・・・。

・・・・・・でも、君に彼の心は戻せるかな?



「・・・・・・次こそは、君を僕のものに・・・・・・。」










「だあっ、うるせえっ!!だぁらちゃんと俺達は六人だっつってんだろ!?」

「いや、だからね、木ノ宮選手。あとの二人は一体どこに・・・?」

「っ、この会場にいる!!・・・五人目はミスターX、そして六人目はミスXだー!!」

シーン・・・と静まり返る会場に、マックスの「そのチョイスが既にミス・マッチネ。」というツッコミだけが響く。

それと同時に、覆面姿の老人と、色違いの覆面を被った少女の方へ何人かの視線が集まった。

少女の方はプルプルと震えているが、老人はずっしりと構えている。



・・・・・・ヒロミさん、耐えてください・・・!!



キョウジュが心の中で念じたおよそ数秒後、漸くヴォルコフが沈黙を破った。



「・・・勝負は二日間に分けて行うものとし、初日である今日で三回戦、間に一日挟んで、明後日に残りの三回戦を行うことが予定でした。・・・・・・その間に、きちんと残りの二名が見つかればいいですね、木ノ宮君。」

「ぐっ・・・!!だ、だぁら二人は・・・」

「落ち着けタカオ!!あと二日待ってくれるってことだ!!」

「今暴れちゃマズイネ!!」

レイとマックス、二人に宥められ、漸くタカオも落ち着きを取り戻してきた。

「・・・悪い、皆・・・。」

「大丈夫ネ、タカオ。ボクたちでセツナちゃんとカイが戻って来るのを待とう。」

「おうよ!!つーか、さっさとおいらたちで三回勝っておけば、明後日タカオが決めれば終わりだろ?ラクショーラクショー♪」

「そ、そうだな!!」

「ああ。・・・・・・これからは俺達が新しい時代を作るんだ。・・・新たな世代、Gレボリューションズとして!!」

レイの言葉に、マックスも大地もキョウジュも頷いた。

そうだ・・・あいつらが帰ってくるまで、俺達がなんとしてでも踏ん張るんだ。



「・・・よっし、そんじゃあ早速おいら、行ってくるからな!!」

「ああ、頼んだぜ大地!!」

「任せましたよ!!」



張り切ってスタジアムへ飛び乗る大地。

気を取り直したブレーダーDJは、彼の登場を確認すると、マイクを構えた。

「さぁ!!いよいよBEGA対BBA・・・改め、Gレボリューションズによる究極の対戦・・・ジャスティス6の幕開けだ!!注目のファーストバトルは皇大地選手VS・・・・・・、ミンミン選手だーっ!!」



わあああああああっっっっ!!と、凄まじい歓声が会場を揺らす。

大地は思わず耳を塞ぎながら叫んだ。



「はああああっ!?おいらあのチャラチャラした歌の姉ちゃんと戦うのか!?つーかおいらが出てきたときんな歓声なかったぞー!!?」









「フフっ♪ミンミン頑張りまーぁっす♪」
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