last night

□第二十八夜
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「嘘でしょ・・・?本当に・・・?」











本来ここに居ないはずの人物の、突然の訪問に、驚きを隠せない。













「お父さん・・・!!」

「・・・・・・よう。」

「セツナの父ちゃん!?」

「え?どういうことネ!?」



こっちに来ていたなんて・・・。

でも確かに、あのとき光はお兄ちゃんだけでなく、お父さんも包んでいた。

でも、だったら尚更・・・



「今まで何してたの、お父さん・・・!!」

「すまないな。色々と清算をしていたんだ。」

「清算って・・・・・・。」

「いくら日記をつけていたとはいえ、全て思い出すのには時間が掛かったからな。」

「あ・・・。」

そっか。

お父さんはトリップの副作用で記憶が曖昧になっていたんだ・・・。



「それと、もう一つ。」



スッ・・・と、お父さんは何かを差し出す。

「・・・ベイ?」

でも、私達がもっているものとは少し違う・・・。

「ちょっとこいつで、実験をしていたんだ。」

「実験って・・・え?」

目の前のベイは、今までに見たことのないパーツが埋め込まれている。

「こ、これは・・・!!」

「なんだ?」

キョウジュは頬にツツ・・・と汗を垂らしつつ、私達に向き直った。

「・・・・・・私は、これまでの技術だけでは、いくら練習を重ねたところで、BEGAに勝てる確率は低いと思っていました。・・・・・・しかし、この技術があれば話は別です。」

「よくわかんねーけどすごいのか!?」

「すごいも何も・・・・・・しかし、セツナのお父様。何故貴方がこれを・・・?」

「ベイパーツ、無くて困っているんだろう。」

「・・・・・・そうだけど・・・・・・。」



目の前のお父さんは、元の世界でのあの眉間に皺を寄せた雰囲気とは打って変わって、不敵に笑っている。



「・・・・・・お父さん、貴方は一体何者なの・・・・・・?」

「火渡エンタープライズの子息。・・・ちょっとだけ、ベイに対する想いが強い、ね・・・。」

「・・・・・・。」

そうだ・・・お父さんはカイのお父さんでもあるから、当然火渡エンタープライズの技術を使うことだってできるんだ・・・。

いや、当然なわけはないかもしれない。

だって、あのお祖父さんとも色々とあった筈だし、もしかしたらお父さんが言う"清算"っていうのは・・・・・・。



「セツナ。・・・・・・今、全世界のブレーダーの希望が、目に見えない闇によって食い尽くされようとしている。それを止められるのは、お前達だけだ。・・・・・・こんなところで負けることは、赦されない。」

「お父さん・・・・・・。」

「俺にも、協力させてくれ。」

「・・・・・・。」

私はしっかりと頷いた。



・・・・・・が、



「えーと、ちょっと待ってくれ。話についていけないのは俺だけか?」

レイが眉間に手を当て、渋い顔をしている。

「私もよ。・・・えっと、セツナちゃんのお父さんなのよね?なのに火渡エンタープライズの子息ってどういうこと?つまり、カイとセツナちゃんは兄妹ってこと?」

「そうなんじゃねえの?」



・・・・・・あ。



お父さんを見ると、苦笑している。



「・・・・・・一先ず事情を話すからさ、中に入ろうか。」

会長やお祖父さんにも説明しなきゃいけないし。











こうして私とお父さんは、トリップの経緯や、あちらでのことを話すことになった。











「つまり、セツナはカイだけじゃなく、タカオとも姉弟ってことなんだよな?」

「あんた話聞いてたの!?戸籍上兄妹なのは監督だけでしょ!!」

「いや、それでもカイのお父様がセツナのお父様であるなら、やはりカイもまたセツナとは・・・。」

「全然わかってないな貴方達!!」

当人である私ですら頭がこんがらがっているから、しょうがないとは思うけどね。

「まさか、俺の親父と兄ちゃんがカイとセツナの父ちゃんとそんなところで繋がっていたとはな・・・。」

そんな中、タカオはそんな風にボケた。

でも私は知っている。

・・・・・・タカオは、本当はわかっていたということを。











「・・・・・・さて、夜も更けてきました。明日は皆さん準備に忙しいでしょうから、もう床に就きましょう。」



大転寺会長の一言でその場はお開きになった。
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