last night

□第二十七夜
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いつまでも一緒に居られるわけじゃない。



そうわかってはいても、目の前の現実に立ち向かわずには居られないんだ。










貴方が高見を目指して走り抜けるなら、私はそれについていく為に、強くなろう。

辛くて険しい道程だったけれども、ここまでこれたのは、"仲間"が居たから。



・・・・・・だからね、カイ。

ちゃんと自分の言葉で伝えたいんだ。



誰よりも一番傍に居てほしいのは、"貴方"なんだよ・・・・・・!!














「!!?」

「・・・セツナちゃん?」

マックスの肩から顔を上げ、辺りを見渡す。

「・・・・・・ドラグーンとドライガーが戦ってる・・・・・・。」

「What!!?」

「だってこの気配・・・・・・。」

涙を拭いて立ち上がり、表へ出る。

すると、遠くからベイの回る音が微かに聞こえてきた為に、私達は顔を見合わせた。



「・・・・・・この音やっぱり・・・・・・。」

「間違いないネ。・・・トレーニングじゃない、本気のバトルの音ネ!!」



急いで駆けつければ、案の定そこには横たわったタカオとレイ。



「タカオ!!レイ!!」

傍にはボロボロになったドラグーンとドライガー。

どう見ても敵の襲来が来たようには見えない。

加えて二人の顔・・・。

つまり、これは・・・・・・。



「・・・こんなときに一体どうして二人でバトルなんかしたわけ。」

「・・・・・・。」

タカオもレイもその表情は、呆れるくらい清々しくて、拍子抜けてしまう。

隣を見ればマックスは何かを考えるような素振りをしていて、私だけがアウェイになっている。



・・・・・・。



・・・・・・まさか。



「レイ・・・貴方まで、BEGAに行くとか言い出したんじゃないよね?」

「・・・・・・違うネ、セツナちゃん。レイはそんなことはしないヨ。・・・でも、戦いたかったネ、レイ?」

「・・・・・・フッ。」

レイは上半身を起き上がらせ、ドライガーを握りしめた。

縛っていた髪はするりと解け、レイの肩を滑る。

「・・・・・・ああ。」

「やっぱりネ。」

マックスは納得したような顔をしている。

そのとき、私の頭の中で全てのパーツが繋がった。



「・・・・・・世界大会のリベンジ・・・・・・。」



そう。

あのとき、レイ達バイフーズは私達BBAレボリューションに圧勝した。

でもそれは、本当のバトルではなかったから・・・・・・だからレイは、タカオにバトルを挑んだのだ。



レイだって戦いたかったんだ・・・"木ノ宮タカオ"という、最強のブレーダーと・・・。

それでも彼は、私達に手を貸してくれて・・・。



「やはり、強かったな。・・・タカオ、いいバトルだった。」

「レイこそやっぱスゲェぜ!!」

タカオは帽子を、レイは髪を直しながらそう言って笑う。



そのときだった。



「あーっ!!大きな音がしたと思ったら・・・っ!!」

「キョウジュ。」

「ひぃぃぃいいいっっ!!ドラグーンもドライガーもボロボロじゃないですか!!どうするんですか、修理ができる保証がないというのに!!」

「わ、悪かったって。・・・ま、でもそのうちヒロミが戻って来んだろ。」

「・・・・・・・・・た、ただいま・・・・・・。」

「あ、ほら噂をすれば。どうだったヒロミ?IDカードを使わなくてもなんとかなりそうな店はあったか?」

「・・・・・・。」

「「「「「「・・・・・・。」」」」」」



その反応で、私達は瞬時に察した。

IDカードが既にこの近辺の店で一斉導入されたことを。



「わぁぁぁっっっ!!もうお仕舞いです!!」

「落ち着けってキョウジュ!!まだ本当に手がなくなった訳じゃないだろ。」

「・・・って言うからには、大地には何か案があるってこと?」

「ねぇ!!」

ズコッ

思わず全員でコケた。



「だが昔から言うだろ。・・・無ければ、作ればいいんだ!!」

T○KIOじゃないんだから・・・・・・いや、でも待てよ。



「そうか・・・作ればいいのか。」

「!!そうですよ、何もBEGAと全く同じパーツを作る必要なんて無いのですから!!」

皆の顔がパアッと明るくなる。



「わかりました。ここは私が腕によりをかけて、新しいベイを作りましょう!!」

「本当か!?やっりぃ!!」

「出来ることがあったら言ってネ、キョウジュ!!」

「おいらもおいらも!!」



・・・・・・。

出来ること、か・・・・・・。



『・・・・・・。』
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