last night
□第二十四夜
1ページ/6ページ
「でネー。そのときリックってばパンツごとズボン降ろしちゃってヘンタイだったんだヨー!!」
「マックス。それを言うなら"ヘンタイ"じゃなくて"タイヘン"だろう?」
「あー、そうだったネ!!いやぁ、あっちにいると時々日本語忘れちゃって。」
水原家にお邪魔した私と大地は、日本のソウルフード・うどんをご馳走になりながら、マックスのPPBベストエピソード聞かされていた。
「ある意味ヘンタイでも間違ってないでしょ。」
私はお出汁のきいた汁を啜り、苦笑する。
「そーゆー問題かよ!?」
「・・・そういえば、PPBの人達基本的に日本語だよね?マックス何でまた日本語レベルリセットされちゃったの?去年あんなに上手だったのに・・・。」
「えー?だってボクが普通に話したら、アイデンティティーが無くなっちゃうネ。・・・そだ!!いっそのこと、レイが語尾に"アル"を付けて喋ったら・・・」
「やめてマックス!!そんなレイ見たくないっ!!」
ツッコミが追い付かない・・・。
恐るべし、マックスのアメリカンジョーク(違)。
「ハハハッ。しかし、お陰で今日は賑やかになったな、マックス。」
「うん!!マヨネーズも進むネ♪あ、よかったら二人も食べなよ!!」
「ぬぁっ!?」
「ちょっ・・・!!」
そのとき、目にも止まらぬ素早さで、マックスは私達のうどんにマヨネーズをかけた。
早い・・・早すぎる。
もしかしたらマックスは妖怪マヨかけ小僧なのかもしれな・・・
「何すんだよマックス!!折角のうどんになんてことしてくれんだ!!」
「まーまー、いいから食べてみるネ♪すごく美味しいね♪」
「余計なことすんなっつーの!!」
「ムッ。余計とは何だヨ!!親切でやってるのに!!」
「だぁらそれが余計なお世話だっつーの!!」
「これが我が家のシタキリネ!!」
「マックス、それを言うなら"シキタリ"・・・。」
舌切り・・・なんて痛そうな・・・。
なんて一人、苦い顔してマヨうどんを食してみた。
・・・・・・意外とイケる。
「あーもうっ、こうなったら勝負だ!!」
「挑むところネ!!」
あーあー・・・。
そんなこんなで、マックスと大地はマヨうどんごとき・・・・・・否、男のプライドと意地をかけて勝負することになった。
審判は私。
「一回きりの勝負だからね。行くよ・・・・・・3、2、1、ゴーシュート!!」
「でやぁっ!!」
「ふっ!!」
しかし、流石マックス・・・。
シュートは勿論、回転にも全くブレが無い。
対して大地は・・・。
「いけっガイアドラグーン!!・・・ああっ!?」
「どうしたネ大地!!世界大会のときのようなキレが全く無いネ!!」
「うるせーっ!!」
・・・・・・。
先程、私が木ノ宮家かBBA本部に戻ることを拒否した時から勘付いてはいたけど・・・こりゃあ何かあったな。
でも、そんな中なのに私のことを助けてくれたのだということに気付き、無理に聞くのは躊躇ってしまう。
「グラビティコントロール!!」
「うわぁぁぁあああああっっっ!!!!」
カラン・・・・・・。
「ガイアドラグーン、スタジアムアウト。勝者、マックス!!」
「・・・ぅ・・・・・・クソッ!!」
ダンッ!!と、大地が力強く地面を叩く。
「ヘイ大地。何もそこまで落ち込まなくても・・・」
「くそっ、おいらは・・・敵はタカオとセツナだけだと思ってたのに・・・!!」
「大地・・・?」
私とマックスは顔を見合わせた。
マックスはそっと大地に近付いて、ポンと肩を叩く。
「大地は強いネ。世界大会でだって、あのリックを倒しちゃったんだから!!」
「でも、それでもおいらはまだ、タカオやセツナには敵わねぇ・・・。」
「ふぅ。・・・・・・それで、家を出たんだね?」
「!!」
「セツナちゃん?どーゆーこと?」
私は頭をポリポリと掻きながら、飽くまで憶測であることを告げてから答える。
「大地、結局PPB戦を最後に世界大会での見せ場が無かったでしょ?・・・実は、私と勝負して決めたんだけど・・・・・・それで、ずっと引きずってたんじゃないかなって・・・。木ノ宮家にも、BBA本部にも行きたがらなかったし。」
「そうナノ?大地。」
「〜っ・・・ああそうだよ!!あそこにいたら、いつまでもおいらはお前達を超えられねえ。そう思ったから旅に出たんだよ!!」