last night
□第十九夜
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「まさに会心の一撃だーっ!!BBAレボリューション皇大地が、遂に勝利を掴んだ!!」
動かなくなったロックバイソンを手に、リックは歯を喰い縛った。
「リック・・・。」
そんなリックに、マックスやマイケル達PPBオールスターズのメンバーが近付いた。
「・・・俺は、俺に負けた奴等の想いを背負って戦っていた。」
「でも、だからと言ってまだPPBが負けた訳じゃないだろ。」
「・・・・・・。」
マックスはベンチに腰かけたリックを見つめ、次に向かい側のベンチを見た。
タカオ・・・。
心の灯火が強くなるのを感じながら、マックスはついに一歩踏み出す。
その背中は、初めて出会った頃は気付かなかったものの、立派なベイブレーダーのそれに違いなかった。
「マックス・・・悪いが、俺の魂も背負っていってくれ。」
「!」
「・・・・・・。」
仲間のエールを背に、マックスはいつもの笑みを浮かべたまま、力強く頷いた。
頭がまだくらくらする・・・。
でも、
「まずは一勝。やはりやってくれましたね、大地!!」
「おうよ!!世界大会で負け知らずのおいらに掛かったらドンとこんなもんだからな!!」
「まぁた調子に乗るんだから。ま、でもこれで決勝進出に一歩近付いたわね。タカオ、負けんじゃないわよ!!」
「へっ、心配すんなっつーの!!けどよ、いよいよマックスと戦えるとなると、燃えてくるぜ!!」
「くれぐれも、油断は禁物ですよ。」
「わぁってら。」
盛り上がるタカオ達を他所に、私は一人、未だに冷やしたタオルを首に当てている。
「大丈夫か。体調管理は・・・」
「お陰さまで大丈夫です・・・あと、これは体調管理云々とは関係ないんで。」
だって、自分が戦ったのなら兎も角として、こんなこと誰が予想できたよ?
確かに、以前私が元の世界に帰ったときは大地の力を無意識に使ってしまったらしいけど・・・・・・。
・・・でも、それだけでしょ。
大地はもう戦わないんだし、あとは大人しくしてりゃなんとかなる。
私はタカオに一言応援のメッセージを告げると、スタジアムへ向かう彼を見つめながらまた少しだけ目を瞑った。
いよいよ対峙するタカオとマックス。
互いに顔を見合わせ不敵に笑う二人の姿は、真剣勝負を目前としているとはとても思えない。
「さぁ、いよいよファイナルステージ第三試合。これが最後のバトルとなり、BBAレボリューションが勝利を掴むか!?それともPPBオールスターズが意地を見せるか!?」
タカオ・・・マックス・・・。
「ここでいよいよスタジアムの発表だ!!」
「「!!」」
天井が開き、現れたスタジアムを目撃した途端に私達は息を飲んだ。
「これは・・・」
「エアーズロック・・・!!」
そう。
私達が再会を果たし、そして、タカオの決意を受け止めた場所・・・。
"これからは、俺達が挑戦者だ"
・・・畜生。
私だって、そこに立ちたかったよ。
タカオ・・・私達の想いを、しっかり次に繋ぎ止めてよ・・・!!
「3、2、1、ゴーシュート!!」
「いっけぇドラグーン!!」
寸分の迷いもない、タカオの真っ直ぐなシュート。
それに対してマックスのシュートは・・・
「GO!!!!ドラシエール!!!!」
「・・・マックス、あんなに力強くシュートするなんて珍しい・・・。」
「確かに。いつもなら防御型のドラシエルをあんなに飛ばさないわよね。」
「・・・それだけ、マックスがこの戦いに懸けている想いが強いのでしょう。 」
マックス・・・。
そうだ。
タカオが一人で戦っている訳じゃないのと同様に、彼だってまた、仲間やいろんな人達の想いを背負ってここにいるんだ。
・・・・・・だから、どちらも退けない。
負けたら、受け継いだ想いも全て崩れてしまうんだから・・・。