last night

□第十六夜
1ページ/6ページ

「熱はなし・・・か。よし、起きるか!!」

『無理するな。』

「大丈夫。倒れるの慣れてるから。」

『ふぅ・・・。』



テレビで見たカイの試合はやっぱり凄くて、このまま大人しく寝てなんていられない。

それに、バルテズソルダの皆が、ありのままの試合を見せてくれたし・・・とどのつまり、やる気スイッチが入ってしまったのだ。



しかし、案の定今回のホテルもスタジアムがついていない為、こっそり外に出ようかなとか考えていたり・・・。



『それにしてもセツナ。流石に着込みすぎだ。』

「うっ・・・だって、日焼けしたらやだし・・・。」

『布一枚巻いておけば済む話だろう。それに、もう日が傾いて来た。お前が出ていたときよりは全然マシな筈だ。』

「・・・はぁい。」

確かに、パーカーの下に三枚も着込むのは違うよな・・・。

仕方ないと、私は着ているものを脱ぎにかかった。

が、



「たっだいまー、って、んなぁっ!?」

「!!」

まさに、キャミソール一枚になったそのとき、急に扉が空いてタカオが現れたのだ。

「わっ、悪い!!!」

「どうしたのよタカオ・・・って、バカ!!」

後から来たヒロミちゃんが、スパーンとタカオに一発ハリセンを喰らわせた。











「・・・で、なんでセツナちゃんはあんなところでストリップしてたわけ?」

パジャマならともかく、私服に着替えていたことを、ヒロミちゃんは言っているのだ。

「う・・・実は、」

隠し事はしない、という約束をした手前、観念して正直に話せば、呆れたように溜め息を溢すヒロミちゃん。

「もう。本当にベイが好きなんだから・・・いいわ。但し、いくら平気でも無茶はしないでね。あと、私達も付いていくから。」

「あ、ありがとう・・・。」

「いいのよ。ついでに夕飯の買い出しもしたかったしね。」

「「!!!!」」

そのワードを耳にした途端、タカオと大地はギョッとしてヒロミちゃんを見た。

「ひ、ヒロミが作んのか!?」

「当たり前でしょう?この宿食事付かないし、外食は高いし。」

「お、俺は外食がいいぞ!!セツナだって腹減ってるよな!?」

「ああそうだ!!セツナを待たせたらまた倒れちまうかもしんねえ!!なぁセツナ!!」

「え、あ・・・。」

二人の目が必死に"そうだと言ってくれ"と訴えている。

・・・うん、確かに前に頂いたお弁当のことを思い出すと・・・・・・。

「うん、練習するのにお腹が減ってたら困るな。すぐに食べに行きたい。」

「あら、そう・・・。」

ごめんね、ヒロミちゃん。

今の私には何もフォローはできない。

「仕方ないわね。それじゃ、さっさとキョウジュと監督を呼んできましょうか。タカオ、大地くん。行ってきてちょうだい。」

「はぁ!?なんで俺が」

「セツナちゃんの着替えを覗いた罰よ!!ほら早く!!」

「おいらは見てないぞ!?」

「ちぇっ、これが初めてじゃないっつーの・・・ブツブツ・・・・・・・・・行くぞ大地。」

「あーっ」



何やら呟きながら、タカオは大地を引っ張って行った。



「さってと、セツナちゃん。実はセツナちゃんにいいものがあるのよね。」

「へ?」

「じゃんっ!!」

「!!」

ヒロミちゃんは大きな紙袋から、一枚の布・・・いや、衣装を取り出した。

それも彼女が着ているものよりも数段際どい、ダンサーのお姉さんなんかが着ている奴だ。

「ちょ、ちょっと、なんでそれを私に・・・?」

「折角だから一緒に着たいじゃない。・・・・・・というか、勢い余って買ったはいいものの、サイズが合わなかったのよ・・・返品も出来ないし・・・。」

「・・・・・・。」

無言で衣装を受けとる。

・・・確かに可愛い。

が、私ももう流石に羞恥心というものがちゃんと芽生えてだな・・・・・・あー、でも練習するのについてきてもらうわけだし、う、うぅぅ・・・・・・。



「・・・・・・今日、だけなら・・・・・・。」



様々な葛藤の後、私の口は勝手に答えを出していた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ