next night

□第二十七夜
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「おっと!?ヒロミ選手どうした!?セツナ選手を差し置いてゼオ選手と並んだぞ!?しかし、大会のルールではチームが変わったわけではないが・・・どうなる、この展開!?」











なんで、どうしてヒロミが・・・。



『セツナ!!しっかりしろよ!!』



だって、一緒に戦うって、言ったのに・・・・・・。











「どうなってんだよ!?なんでヒロミがゼオと一緒に戦ってんだ!?」

「わかりません・・・でも、アインシュタインでないベイを使用しているということは、もしかしたらヒロミさん、操られているんじゃ・・・。」

「それはありえん。」

「カイ・・・?何か知っているのか?」

「あのヒロミは、貴様らの知るヒロミでないということだ。」

「どういうことだよ!?」

「・・・・・・。恐らく奴は、デジタルジラフを操る為にここへ呼ばれた、セツナの元の世界のヒロミだ。」

「「「「!!!?」」」」












私は、目の前の親友が敵になったという現実を、受け入れられないでいた。

「なんで、なんでだよヒロミ!?私達は仲間じゃなかったの!?」

「・・・・・・。」

「セツナ。ショックかい?でも、ヒロミは自分の意思で俺に協力しているんだよ。」

「ゼオ・・・どういうことだよ!?」

「それは、貴方が俺達に勝ったら教えてあげるよ。」

「クソっ・・・!ドラキリュゥゥウウウウ!!!!!!!」

私は夢中で叫んだ。

「やっと現れた・・・これが、麒麟・・・!!」

ゼオが目を一瞬だけ輝かせる。

「ゼオ!!私は必ず貴方を倒す!!そして・・・ヒロミの目を覚まさせてやる!!」

「甘い!!ヒロミ、行くぞ!!」

「っ、ええ!!出てきなさい、デジタルジラァァフ!!!」

「バーニングケロベロス!!!!!!!」



一気に現れた2体の聖獣は、見ているだけで圧されそうな程の、禍々しいオーラを醸し出していた。

というかそもそも、あのとき滅んだと思っていたデジタルジラフが、なんでここにいるんだ!?










「・・・・・・もしかすると、チームサイキックも、裏でザガート達と繋がっていたのかも知れません。」

ずっと画面を見ていたキョウジュが、ぽつりと呟いた。

「キョウジュ?」

「五聖獣の力の秘密を知る者は限られていますからね。・・・そう考えるのが妥当かと思います。飽くまで想像でしかありませんが。」

「・・・・・・いや、案外的を射ているかもしれない。」

「ケイン、ジム!!」

観客席にいたタカオ達の元へ、ケインとジムが遅れてやって来た。

「チームサイキックとしてお前達と戦っていたとき・・・セツナだけ、地下に落ちただろ?あのとき、ドクター達が麒麟のデータを取っていたんだ。・・・それを元にデジタルジラフを完成させようとしていたから、研究所の生き残りが、そのデータをザガートへ渡した可能性が高いんだ。」

「ギデオンよりも更に偉いやつがいそうだったしな。」

「・・・だが、麒麟のコピーというのであれば、俺達のような並みのブレーダーではそう簡単には操れなかった。・・・あそこにいるヒロミが、何故デジタルジラフを操れるのかは不明だがな。」

「・・・・・・。」

タカオは改めて、スタジアムを見た。

ずっと一緒だと思っていたヒロミ。

いつも通りだと思っていたヒロミ。

でもそれは、まやかしだったのだ。



いつだ・・・?

いつから、変わっちまったんだよ・・・ヒロミ・・・!!



「クソっ・・・!!」













思っていたよりもずっとしんどい。



「はぁっ、はぁ・・・。」

汗か涙かわからない液体が、顔に筋を作ってくる。

それを袖で拭うものの、もう袖だってグショグショで、大した意味を持っていない。



「ふふっ、辛そうだね、セツナ。・・・でも、もうすぐで楽にしてあげるよ!!バーニングケロベロス!!!」

「くっ・・・ドラキリュー!!!」

「させないわ、デジタルジラフ!!」

『うわぁぁぁあああっ!!』

「キリ!!」

『平気だ、行くぞセツナ!!』

「うんっ・・・ランドストーム!!!」



あれから何度、二人を相手に攻防を繰り返したかわからない。

一秒が何時間にも感じる緊張感。

キリがいるのに、皆が見ててくれているのに、去年のロシア大会よりも、ずっとずっと・・・痛くて苦しい。



「ヒロミ・・・っ、まずは貴方から片付ける!!」

「っ、そう簡単には倒せないわ・・・!!行って、サイバードラキリュー!!」
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