next night
□第十九夜
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「あああああああっっっっ!!!」
一瞬、身体を炎が包んだように思えた。
カラン・・・と、音を立てて隣に転がったドラキリュー。
「・・・・・・ぁ・・・・・・。」
「・・・・・・。」
今度こそ、終わる・・・・・・。
「っ!!?」
僅かに後ろへと引いた身体が、次の瞬間にはがっしりと固定された。
フラッシュレオパルドをその手に戻したオズマが、いつの間にか私の腕を拘束していたのだ。
「約束だ。お前の持っている麒麟の力を封印させてもらおう。」
「や、ヤダ・・・・・・。」
恐怖で首を横に振るものの、オズマの表情は変わらない。
「やだぁっ!!」
暴れようとしても、びくともしない。
「騒ぐな。」
「やだっ・・・離して!!・・・っんむ!?」
口の中に布のようなものを押し込まれ、思うように喋れない。
「大人しくついてきてもらうからな。」
「んーっ!!」
オズマが私を抱き抱え、ドラキリューに手を伸ばそうとする。
しかし、案の定彼はベイブレード本体に触ることは出来ず、舌打ちをした。
「どういうことだ・・・!?」
「・・・・・・!」
いまのドラキリューは私以外には触れない・・・・・・そのことを、オズマは知らなかったのか・・・!!
口には出さないけれど、時間が稼げると内心ガッツをする。
何か・・・何かこの場を切り抜ける方法は無いの!?
頭を必死に回転させ、私は遂に一つの大きな賭けに出ることになった。
「(・・・・・・ドラキリュー、ハイリスク&ハイリターン!!!!)」
そう念じた時だった。
「何!!?」
突然強い風が吹き、止まっていた筈のドラキリューが動き出した。
オズマが怯んだ隙を突いてなんとか逃げ出し、ドラキリューを間に入れて距離を取る。
「こんな奥の手を隠していたのか!!」
「ぷはっ・・・・・・。能ある鷹は爪を隠すって言うでしょ?」
なんてね。
あの技が使えるかどうかなんてそもそも試してなかったから、やってみただけなんだけどさ。
・・・ま、何はともあれ、私は賭けに勝った。
それなら、後はもうこっちのもんだ!!
「こういう場合、私はシュートを二回したわけじゃないから、どうなるのかな?」
「・・・・・・。」
それでもオズマは先程の焦ったような顔から、いつもの表情へと戻る。
「・・・なるほどな。ならば、その技に免じて、少しだけ教えてやろう。」
「往生際悪いな。だけど、教えてくれるならそれでもいいや。・・・ただし、私には近付かないでよ。」
私は手にドラキリューを戻さず、そのままで話を聞くことにした。
「・・・・・・で、お前が知りたいのは石板の聖獣についてのことだったか。」
「うん。・・・というか、石板と五聖獣の関係について教えてほしい。」
「・・・白虎を返せと言わない辺り、多少の仕組みは察しがついているのか。」
「まぁね。」
「ふ・・・。」
俺達の先祖が、聖獣を封印した理由については知っているだろう。
・・・・・・ああ。
悪しき者達が、聖獣を利用していたからだ。
そんな奴等が、五聖獣の力に目を付けたことを知った俺達の先祖は、当然封印をしようとしたさ。
・・・・・・だが、そう簡単にはいかなかった。
「なんで?」
「・・・・・・遠いユーロの地で、五聖獣を漸く従えたかと思ったまさにそのとき、麒麟が邪魔をしたからだ。」
「!!」
ユーロ・・・!!
そういえば、ラルフの家で見た本や絵に、五聖獣のことについて書かれていた。
まさかそのときに書かれていた"神様"って・・・!!?
「俺達の先祖、そして当時"神"と祀られていたものが、五聖獣全てを封印するつもりだったが、麒麟がその力を持ってして、邪魔をした。だから、優先的に麒麟を封印するしかなかった。・・・激闘の末、記憶の一部を封じ込め、その力を主無しでは発揮することができないようにすることが出来、見事に石板に閉じ込めることに成功した。・・・だが、その間に他の五聖獣には逃げられた。」
「・・・・・・。」
「・・・お前の予想は合っている。だから俺達は、奪った白虎を石板に封印した。そしていずれは他の五聖獣・・・勿論麒麟も、今度こそ封印する!」
・・・嘘でしょ・・・?
「キリは・・・何の悪さをしたって言うんだよ・・・。」
「そのときにはなにもしていなかった。だが、悪しき者が利用しようとしていたから、封印しようとしていたところを、上手く飼い慣らして方角を守らせようとしていたらしい。だが、麒麟だけは好き勝手に力を使い、言うことを聞かなかったとも伝えられている。・・・だから、天罰を与えたともな。」
「なんだよそれ・・・それって、貴方達の先祖の都合で、キリが罰を受けなきゃならなくなったってことかよ!!?」
「・・・・・・。」