next night

□第七夜
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「貴様ごときに聖獣を使うまでもない・・・フレイムセイバー!!!」

「なっ、なにぃぃぃいいい!?」



ドランザーによって弾き飛ばされた敵のベイブレードは、そのまま橋の下へと落下して行った。

そんなベイブレードを拾おうともせず、覚えてろよ!!なんて、如何にも悪役しか使わなそうな捨て台詞を吐いて逃げていく男の子。



「・・・とりあえず、先に行けるようになったのかな。」

「・・・・・・。」

カイがすたすたと歩き出し、私達もそれに着いていく。



そこから先は道も大分穏やかで、灯台まではそれほど掛からなかった。














「・・・ダメ。こっちもつながらないわ。」

「結局全滅か・・・。」

灯台に着いて、四人で色々と手分けして探してみたものの、どれも壊されていて、使えそうな通信機器は残っていなかった。

仕方なく、ヒロミちゃんはバトルアナライザーでタカオ達に連絡を取りに外へ行き、キョウジュは壊れた機器を直すことが出来ないか色々と試し始める。

・・・・・・。

「・・・私、ちょっとこの辺の様子を見てくるよ。」

何もしないのも気が引けるため、そう告げて出て行こうとする私を、カイは止めた。

「待て。一人で行動するのは危険だ。」

「でも、カイが離れたら二人が危ないよ。」

「バカか。チームサイキックが狙うのは聖獣だ。・・・灯台まで来た今、この中で奴らが白羽の矢を立てるのはただ一人しかいない。」

「私ってこと・・・?でも私、いま聖獣を持っていないから別に狙われても・・・。」

そう話している途中で、私はカイの背後に見覚えのある機械があることに気付く。

突然口を噤んだ私を不審に思ったカイは、そのまま首をそちらに傾けると、それに気付いてしまったらしく、小さく舌打ちをした。

「・・・やっぱり、少し離れた方が良さそうだね。」

「・・・・・・。」

私はヒロミちゃんに声をかけると、海の方へと足を進める。

結局カイも後から着いてきて、私達は灯台から1qくらい離れた海岸で腰を降ろした。



「ふ・・・。」

カイが小さく息を漏らした音を、私は聞き逃さなかった。

ここに来るまでに、一番気を張り詰めていたのはカイだ。

本当なら、私だって力にならなきゃいけないのに・・・結局、守られてしまっている。

「・・・ありがとうね、カイ・・・。」

「礼を言われるようなことをした覚えはない。」

「でも、私だって戦わなきゃいけないのに・・・!!」

「・・・・・・。」

「なのに・・・・・・え、ちょっとカイ・・・!?」

カイは何も言わずに、頭を私の膝へ乗せた。

突然のことに驚いていると、ごろんと転がり、仰向けになる。

そのまま無骨な手が伸びてきて、頬に触れると、途端に身体に緊張が走った。

「・・・その程度で凹み続けるような女ではないだろ。」

「カイ・・・?」

真っ直ぐな瞳が私を見上げている。

静かな炎を灯しながら、だけれども強く、確かな輝きを放っていて・・・。



思わず、その額に手を伸ばした。

しかし、そのタイミングで邪魔な声が海岸に響く。



「戦うことを放棄し、ランデブーとはいいご身分ではないかね?・・・BBA、土崎セツナ君。」

「・・・・・・っ!」



私達はすぐに立ち上がった。

それと同時に、どこからかすごい勢いで何かが降ってきて、ドサッと砂を巻き上げた。

「な、何・・・・・・!?」

よく見てみると、それはスタジアムだった。

「マックス君、レイ君、カイ君が戦い、残るは君とタカオ君のみ・・・言いたいことは、わかるな?」

「・・・いいよ。相手になってあげる。」

「ほぅ・・・随分と自信があるようだね。聖獣を持っていないというのに。」

「「!!」」

気付かれていた・・・!?

「フフフッ・・・この島には至るところにカメラが取り付けてあってね。君達の会話は殆ど筒抜けになっているのだよ。」

「随分と悪趣味だね・・・でも、聖獣を持っていないと知りながら、何で私と戦うわけ?」

「答えは簡単さ。・・・我々チームサイキックは、君が欲しいのだよ。」

「は?」

思わず口を開けてしまう。

が、すぐに心当たりがあることを思い出し、眉間に皺を寄せると同時に、歯を食い縛った。

「・・・絶対に貴方達の言いなりになんかならないから・・・!!」

「フフ・・・その意気だよ、セツナ君。・・・・・・それでは紹介しよう、君の相手を!!」
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