next night
□第六夜
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ヒロミちゃんがBBAチームのマネージャー的な存在となり、私達もマグネットシステムをうまく使いこなせるようになってきた。
そしてついに、チームサイキックとの対決の日が訪れる。
「迎えのバスが来たよー!!」
「おっしゃぁ!!それじゃ、行くか・・・派手に暴れてやろうぜ!!」
「「「「おー!!」」」」
バスに駆けつける私達。
なんかこういうのも懐かしいなぁ・・・。
「ふぁ・・・。」
バスに乗り込むと、思わず欠伸をしてしまい、慌てて口を閉じる。
危ない危ない。
これから試合だっていうのに気を抜いちゃダメだ。
・・・あ、でもバスの揺れが心地いいな・・・。
隣を見ると、カイも船を漕いでいる。
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
連日のハードな練習のせいで、あまりにも疲れていたのだろうか。
私達は気付くと全員寝てしまっていた。
だから、このバスがどんな場所を通っていたのか、目的地は一体どこだったのかを、誰一人として知る由など無かったのだ。
「・・・おい、起きろ。」
「ん・・・。」
「セツナ。」
ペチペチと、頬を軽く叩かれる感覚に、自然と眉間に皺が寄る。
「セツナ、起きろ。」
「・・・?」
うっすらと目を開けると、辺りは薄暗くて、なんだまだ夜明け前かと認識した身体は、再び眠りにつこうとする。
しかし、意識を手放そうとしたまさにそのとき、無理矢理上半身を抱き起こされたのか、背中だけが浮き、頭がガクンと下へ垂れる。
流石にその苦しさに目を開けようとするが、今度は唇が塞がれる。
「!?」
かと思えば唇を割って入ってきたのは生暖かい舌だった。
この味・・・知っている。
その途端顔が熱くなり、上手く息が出来ない。
「んっ・・・ふっ・・・はっ・・・んぁっ・・・・・・?」
流石に完全に目が覚めたものの、突然の行為に頭がついていかない。
「ちょっ・・・ぷはっ、何すんだよカイ!?」
やっとの思いでその胸板を押し返すと、熱い息を少しだけ漏らしたカイが、静かに告げる。
「・・・・・・。どうやら嵌められたらしい。」
「嵌められたって・・・?」
起き上がって辺りを見渡すと、そこはだだっ広い部屋だった。
「何ここ・・・?私達、会場へ向かっていたのに・・・。」
少し離れたところに、BBAチームの皆が倒れている。
そして、腕には妙な腕輪が嵌められていた。
なるほど、そういうことかと気付いた瞬間、なんだか苦いものが込み上げてきた。
そのとき、背後でごそ・・・と音がして、ヒロミちゃんが目を覚ます。
「ん・・・どこ、ここ・・・?え、何この腕輪?ちょっと、皆起きて!!」
程無くして皆が起きて、部屋の様子を探る。
一先ず部屋が妙にほこりっぽいことと、かび臭いことから、長らく人が使っていない部屋だと言うことはわかった。
しかし、そんなことよりも問題は試合だ。
困り果てた私達だったが、部屋に仕掛けられたスピーカーから、どうやら私達を嵌めたと思われる首謀者が、ここが試合会場だと告げる。
まさか何をいっているんだと眉を顰めると、怒りが爆発したのか、タカオがスピーカーを壊してしまった。
「へへーんだ!ざまぁみやがれ!!」
「ちょっと、腕輪の外し方を聞こうと思ってたのに何やってんのよ!!」
確かに、いつの間にか付けられていた腕輪は結構ガッツリ食い込んでいて、簡単には外れなさそうだ。
というか、これ下手したら腕痺れてくるんじゃね?
「ねぇ、これ誰かベイブレードで壊せたりしない?」
「力的には不可能じゃないかもしれんが、失敗したら骨折じゃ済まないと思うぞ。」
レイの冷静なコメントで、もしものときを想像してしまい、ゾッとした。
「それよりも皆さん、今の声、聞き覚えがありませんか?確か、今日やる筈の試合の・・・。」
「声?」
私やタカオは必死に記憶の糸を手繰り寄せ、漸く思い出す。
「・・・!チームサイキックか?」
タカオがその名を口にした途端、どこからか再びあの声がした。