next night
□第五夜
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「お、来た来た・・・レイー!!こっちだー!!」
「タカオ!!キョウジュ、それにカイ。・・・と・・・?」
空港に姿を現したレイは、ここにいるはずのない私を見るなり、目を丸くする。
「久しぶり。レイ。」
「セツナ・・・!?お前、なんでここにいるんだ!?」
「帰ってきたんですよ、レイ。」
「え?・・・え・・・!?」
彼らしくない焦る様子を見るのは楽しいけれど、流石に何も教えないのは可哀想なので、手短にここにいる理由を説明する。
「なるほどな・・・。だが、その話だと、キリはいないということにならないか?」
「うん・・・実はまだ力が戻ってないみたいでね・・・。」
「そうだよな・・・ん?ということはセツナは狙われなかったのか?」
カイもタカオもそうだったけど、レイもまた、身長が伸びて大人っぽくなった。
そういえば、世界大会のときよりも色白になった気がする。
相変わらず格好いいことに変わりはないけれど。
「ううん、私のところにもオズマ達が来たんだけど・・・。」
そうして話しているときだった。
突然パンっと手を叩く音がして、そちらを見ると、ヒロミちゃんがひきつった笑顔で私達を見ていた。
「ねぇ、私の紹介はまだなの?」
「あ、ごめん。」
「誰だ?」
ヒロミちゃんがレイに向けて自己紹介をし始めると、私は肩を竦めてカイへ視線を向けた。
「・・・なんだ。」
すると、即座に口を開くカイ。
こうやって聞いてくれるということは、話をしても大丈夫なときだということを、暗に伝えてくれているのだ。
「いや、眠そうだなって・・・。」
「夕べは散々付き合わされたからな。」
そう言って伸びをする仕草が妙に色っぽい。
・・・いや、男の子に色っぽいなんて言葉、変かな?
なんて思っていたら、私達の会話を聞いていたタカオも、話に入ってくる。
「ホントホント。セツナがうちの庭をボッコボコにしたお陰で大変だったぜ。火まで起きちまうしよー。」
そう。
二人には日付が変わるまで、私がグラウンドアップ(小)で掘り起こしてしまった地面をもとに戻す手伝いをさせてしまったのだ。
私とカイはゆっくり寝られたからいいものの、タカオは先程まで学校があったせいで、大分寝不足みたいだ。
「う・・・ごめんって。」
「なんの話ですか?」
「セツナが新しい技の練習をしてたら庭が荒れちゃったんだよ。で、庭を元に戻してたから今日は眠くてさー・・・ふぁー・・・。」
「タカオは寝不足じゃなくても授業中いつも寝てるじゃないですか。」
「え、そうなの?」
タカオを見ると、罰が悪そうに頬をポリポリと掻いていた。
「えー、いやぁ。まぁそんなときもあるさー。」
「・・・・・・。」
「・・・と、そういえば新しい技ってなんですか?」
微妙な空気を壊すように、キョウジュが話題を変えてくれた。
「ああ。それはまだ内緒。後でマックスが来たら教えるよ。」
しかし、それからマックスが合流するまでにはそれほど時間が掛からなかった。
「マックスー!!こっちだこっちー!!」
いち早くマックスに気付いたタカオが手を振る方を見ると、やはりいくらか身長が伸びたマックスが、こちらに向かってやって来る。
「やぁ皆。」
「元気にしてたかぁ?」
「ああ。・・・レイ、早かったな。」
「さっき、着いたところだ。」
ヒロミちゃんとの話が終わったレイも、こちらへ来た。
「へー・・・って、アレ?」
マックスの視線が私とヒロミちゃんのところで止まる。
「・・・・・・。」
「「?」」
「セツナちゃーん!!」
「のわっ!?」
「よかった!!!帰ってこれたんだね!!久しぶりに会えて嬉しいよ!!」
直ぐ様私に飛び付き、頬擦りをするマックス。
こういうスキンシップの多さは相変わらずだ。
「私もだよマックス。でもそろそろ離れ・・・」
「で、この子は誰?」
流石というかなんというか。
マックスはカイがひっぺがす前に私から離れ、ヒロミちゃんが顔をひきつらせる前にちゃんと聞いてあげる。
「橘ヒロミ。よろしくね!!」
「ヒロミちゃんね。ボク、マックス。よろしくね。でもまさか、セツナちゃんだけじゃなく、こんなかわいい子に出迎えてもらえるなんて、思ってもみなかったなー。」
影でヒロミちゃんが微妙な顔でキョウジュに何か言ってる。
大方予想はつくけど、仕方がない。
彼はどんな女の子に対してもこんな感じなのだから。
・・・それにしてもマックス、随分日本語上手くなったなぁ。
暫くアメリカに戻ってたんじゃなかったの?