next night

□第四夜
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「すご・・・。」



BBA本部に到着し、こっそりカイと一緒に中の様子を伺ったものの、そのあまりの設備の豪華さに言葉を失ってしまった。

PPBやボーグの研究所に比べれば、全体的に狭いかもしれない。

それでも、決してそれらに劣らないレベルだとは思う。



「考えてもみればBBAだって世界各国に支局があるんだもんね・・・。」



これくらいの設備で、当たり前なのかもしれない。

「あまりキョロキョロするな。怪しまれるぞ。」

「はーい・・・でもカイ。なんでこんなにこそこそしてるの?私達、BBAの代表選手なんだからもっと堂々と入っても平気なんじゃないの?」

「バカか貴様は。・・・半年前、忽然と姿を消した選手が突然現れてみろ。」

「あ・・・。」

そういえばそうだった。

ここに来る途中で下着を買うついでに服も買おうとしたが、カイはそれを全力で止めにかかった。

それは時間が惜しいからではなく、単に男装すると簡単に私が土崎セツナだとバレてしまうからだったんだ・・・。

「・・・厄介なことにはならないだろうが、少しでも早く会長とコンタクトを取りたいのならば、正体を明かさない方が懸命だろう。・・・幸いにもその格好ならば一発でセツナだと認識される可能性は低い。わかったのならばおとなしくしていろ。」

「う・・・。」

仕方なく、私はカイの2歩後ろをついていくことにした。












こそこそと物影に隠れては奥へ進んでいくと、PPBの研究所をこっそり探検・・・もとい、偵察したときのことを思い出す。



「ねぇカイ。」

「なんだ。」

「カイってお坊っちゃまの割りにこういう・・・なんていうか、服が汚れるようなことも平然とやってのけるよね。」

「・・・身に付けざるを得なかった。」

「え?」

「色々と都合があったまでだ。ボーグを抜けたり、祖父の目から逃れたりする為にな。」

「そうだったんだ・・・。」

そう語るカイは、まるでなんでもないような顔をしていた。

恐らく前までだったら、もっと苦い顔をしていただろうに。

あれから少しは吹っ切れたのだろうか?



それから暫くして、私達はとある部屋にたどり着く。



窓から様子を覗いてみると、中には懐かしの大転寺会長がいたのだが、何だか様子が変だ。

どこかのチームとBBAの制服を着た人達を戦わせているみたいなんだけれど、彼らは緑の制服を着た相手チームの戦いを見て、酷く焦った顔をしている。

その雰囲気が、こちら側にとってあまりいい結果でなかったことを物語っている。

「なんなの・・・あの子達・・・?」

「さぁな。だが、敵であることに間違いはない。」

そのとき、聞き覚えのある声がしてカイは私の腕を引いて身を隠す。

バタンと扉を開けて、見覚えのある赤と青の帽子が中へ入っていった。

「タカオ・・・・・・キョウジュにヒロミちゃんまで・・・!」

大きな溜め息が出た。

結局考えることは一緒ってことだね・・・。

「ん・・・?」

改めて部屋の中を覗いた。

「カイ・・・私、あの緑の制服見たことある気がする・・・。」

「ああ。・・・昨日、木ノ宮を襲って来たのだから無理もない。」

「昨日?昨日って・・・あ!まさか、あのグラサンの・・・!?」

「・・・・・・。」

私は慌てて目を凝らす。

いよいよ、正面から喧嘩を吹っ掛けてきたというところだろうか?



いや、そんなことよりあの動き・・・。

キョウジュが教えてくれた、磁場を発生させるベイブレードだ・・・!



それからBBA代表のお兄さんが負けるまでに、それほど長い時間は掛からなかった。

どうしようかと迷っていると、既にタカオがシューターを構えて相手チームに対峙している。

「あ、カイっ・・・」

カイもゆっくりと歩を進め、ドアノブに手を添えた。

ああ、もう・・・こうなったら私だって行くさ!



ベイブレードがなくったってね!!



部屋にこっそりと入ると、会長やタカオの口から「チャンピオンチーム」やら「挑戦」という単語が耳に入る。



「今のバトルを見てたら、腕がむずむずしてきやがった!!」

「あんたまたそんな軽はずみなこと言っちゃって・・・!!」

スタジアムの前で、いつもと変わらない笑顔でそう言っているのだろう、タカオの背後に差し掛かったとき、前を歩くカイが不意に口を開いた。

「ついでに俺も一枚噛ませてくれ。」

その場にいた全員の視線がカイへ向く。

「カイ・・・!」

「火渡カイ君・・・。・・・・・・!?」

「ふん、来よったな。フハハハ・・・!!・・・優秀な4人のチームのうち、二人のお墨付きですな、会長。」

怪しく笑うおじさんを一瞥し、カイは緑の制服のチームを見据えた。

「二人ではない。三人だ。」

「何っ・・・?」

そこで私は一歩前へと歩み出た。

「セツナ君・・・!?まさか、何故ここへ!?」

「ほぅ・・・世界大会後すぐに姿を消した幻の少女・・・。これはますます楽しみですなぁ。」

「・・・。」

視界の隅でキョウジュがおろおろしているのはわかっていたけれど、私は何も言わずにおじさんを見ていた。












「わかりました。・・・BBAチームはチームサイキックと正式にチャンピオン防衛戦を開催することをここに約束します。」
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