one night
□第九夜
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その後、帰ってきた大転寺会長においしいものでも食べに行こうと誘われた私達は、その後を着いていく。
「わ・・・!美味しそう!」
運ばれてきた料理を見て涙が出てきた。
「大袈裟だなぁ、料理くらいで。」
「だって・・・久しぶりなんだもんこんな高そうな料理・・・!滅多に食べれないからね!?うはぁっ・・・!ホントにこんなにすごいの食べていいなんて夢みたい!大転寺会長、ありがとう!!!」
こっちに来てからは勿論、もとの世界でだって、子供だけでこんな豪華な料理にありつけることなんてない。
本気で大転寺会長に感謝する私の姿を見て、タカオは苦笑していた。
「いただきまーすっ!」
口にいれた途端、その料理のおいしいこと!
タカオと同じくらいがっついてしまい、女の子の格好をしていなくてよかったと、心から思うのだった。
「はぅ〜♪もうこれが食べれたから今日はどんなことがあってもいいよホントに!」
「それはよかった。頑張って作った甲斐があるからな。」
デザートの杏仁豆腐を掬いながら、まだうっとりしている私の後ろから、声がかかる。
この声・・・
「レイ!?」
「漸く気付いたか。それにしてもセツナ、タカオもいい食べっぷりだったな。」
「だって旨かったんだもん。な!」
「ね!」
「そうか。それならまた今度作ってやるよ。」
・・・え?
さっきもそんなこと言ってたけど・・・どういうこと?
首を傾げる私達に、レイは事情を説明する。
どうやらレイはこの店でたまにお手伝いをしていて、今日のメニューもいくつかレイが作ったらしい!
「それだけ美味しそうに食べてくれるのなら、俺ももっと作りたくなるからな。」
「ホントに!?じゃあ私3食レイメシがいいっ!!」
「レイメシってなんだレイメシって。」
「レイが作ったご飯ってこと!!」
「完全に胃袋掴まれてますね。」
「Yes。料理上手がモテるのに男も女も関係なかったネ。」
レイも交えて大会の説明を聞いた私達だが、カイがその説明を聞いた途端に出ていってしまった。
「ちょっと・・・カイ!?」
慌てて追いかけようとしたところで、あまりのお腹の重さに動きが止まる。
その間にカイの姿は見えなくなってしまう。
ああ・・・・・・。
「セツナ?」
「どうした?・・・うっ!?」
立ち上がろうとしたタカオまで、その場に踞る。
「しっかりするネ二人とも!」
「何かに当たったんでしょうか?」
「いや、違う・・・。」
「そうだ、これは・・・腹が・・・」
「「「「腹が?」」」」
「「いっぱいだ・・・。」」
4人はその場でコケた。
結局マックスとキョウジュはタカオを、レイは私を支えながら店を出る。
キョウジュのパソコンを見て地図を確認し、私達は町中を探す。
レイが、ブレーダーの本能でカイは多くのブレーダーが集う場所にいっている可能性が高いと言うので、人に聞きながら町中をいったり来たりする。
それからどれくらい経っただろう?
日も暮れ、ホテルに帰るかどうかという話をし始めた頃、ポケットが震え、漸く目が覚めたらしいキリが現れた。
『なんだお前ら。まだカイを見つけてないのか。』
「へぇっ!?」
「What!?」
「なっ・・・!」
タカオ、マックス、キョウジュはキリを初めて見る為に、ギョッとした顔をする。
そんななか、唯一キリと面識のある(といっても、前にあったときより成長はしているけど)レイだけがキリと目の高さを合わせる。
「そうだ。お前なら聖獣の気配とかでカイがどこにいるかわかるんじゃないか?」
「そっか・・・!キリ、ドランザーの気配とかわかる?」
『そうだな。そんなに離れてないから微かに気配は・・・』
「「「〜って、ちょっと待て!!!!」」」