one night
□第七夜
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タカオとレイのバトルは、タカオのベイブレード(ドラグーン)が壊れたり、聖獣が現れたりと、とてもアクシデントが多かった。
それでも、あの二人はお互いが気に入ったらしく、第2ゲーム終了後に何やら話している。
「ん?レイ、行っちゃったけど・・・?」
何故か退場するレイ。
どうやら、いまのタカオには勝てないと自ら試合を放棄したようだ。
結果、タカオが勝った。
しかし、問題はここからだ。
スタジアムに現れたマックスとタカオがじゃんけんをする。
ここで勝った方がそのまま決勝へ。
負けた方はカイとバトルをして、勝たなければ決勝へは進めない。
さぁ、どうなる・・・?
「いよっしゃあああ!!俺の勝ちぃっ!!」
「NO〜!・・・まあでも、カイと戦えるからいっか。タカオ、決勝で待っててネ!」
「ああ、待ってるぜ、マックス!!」
「・・・カイと戦うのはマックスか。」
「いや、両方だ。」
私の呟きに、間髪入れずにカイが言う。
どこからその自信が出てくるのか・・・。
でもきっと、カイなら勝つんだろうな。
そんな予感がした。
カイを見送った私はキリと一緒に座って、次のバトルが始まるのを待っていた。
そんなとき、後ろから声をかけられる。
「まさかお前も聖獣に選ばれていたとはな。」
「レイ・・・。お疲れ様。」
「ああ。お前もな。・・・ん?」
私の隣にドシッと腰かけると、キリの存在に気付いたレイはじっと目を凝らす。
「・・・変わったぬいぐるみだな。」
『・・・。』
ベシッ
「おっと。」
『ほぅ・・・避けるとは流石だな。』
突然のキリの攻撃をひょいっとかわすレイ。
なんて反射神経だ・・・羨ましい。
「こいつ、しゃべれるんだな。なぁ、玩具かなんかか?それともほんとに生きているのか?」
『あ、こら気安く触るんじゃない!!』
レイはキリを持ち上げると、顔をフニフニしたり、手足を動かしたりして遊ぶ。
その顔が、私をからかうときのそれと全く同じで、私はキリと同レベルに扱われていたのかと、ほんのちょっぴり沈む。
『僕をセツナのように扱うな!』
まさかのキリの発言に、ぬいぐるみ(正しくはすごい力を持っているらしい聖獣)にまでバカにされたのだと分かり、更に凹んだ。
「なんだ、お前意思があるのか。じゃあ動物かー。なんの動物なんだ?」
『僕は麒麟だ!』
「へー、麒麟の子供って首が短いんだなぁ。」
『無礼者!お前の持っている白虎と同じ聖獣だぞ!!』
「!?」
「聖獣・・・!?ベイも回っていないのに・・・?」
レイの目が驚きで1,5倍程大きく見開かれた。
「その子は特別なんだって。・・・でもま、聖獣持ってるからやっぱりレイにも見えるんだね。」
「聖獣がこんな風に喋るとも、聞いたことがない・・・。何者なんだ、お前たち?」
「ただのド素人だよ。」
『幻の聖獣だよ。』
私達の返答に、ますます混乱するレイ。
でもこの感じだと、やっぱりカイのドランザー同様、ドライガーもキリのようにはならないことがわかった。
「まさかこれから仲間になる奴のなかに二人も聖獣持ちがいたなんてな・・・。」
「仲間・・・?」
「バトルが終わったお前になら話してもいいだろう。あのな・・・」
そっと、耳に口を近づけられる。
しかしそのとき・・・
「さぁ、いよいよ第三試合!!マックス選手とカイ選手の登場だー!!!!」
DJの声が邪魔をし、意識がそっちに持っていかれてしまった。
おかげでレイが何をいったのかわからない。
ぱくぱく・・・
口だけでなにかを伝えようとしているが・・・何々?
「あ と で は な す」・・・か。
まぁこの試合を観てからでも遅くはないだろう。
スタジアムに目を向けると、既に試合は始まっていた。
「なんかまた変なスタジアムになってる!!」
今度は回転する床か・・・。
相手を倒すだけじゃなく、10秒以上ポイントゾーンにいなきゃいけないってルールもなかなかおもしろい。
「頭も使わなくちゃならないんだな・・・。」
予め作戦を練っただけじゃ足りない。
その場その場でいかにいい戦法を思い付くのかも、大事なことなのだと学んだ。
・・・しかし、私には圧倒的に経験が足りない。
少しでも試合を見て学ばなきゃ・・・!