one night
□第十六夜
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「どんどん私達の待遇がよくなってる気がする。」
「・・・・・・それは当たり前ですよ。・・・・・・BBAだって勝ち進めば・・・・・・それだけ資金手当てが・・・・・・もらえるのですから。」
「まぁ子供の私達は賞金なんてもらえないしね。これくらいやってくれなきゃ不公平だよね。」
キョウジュと二人、のんびりと寛ぐ。
「ええ・・・・・・まったくです・・・・・・でも・・・・・・なんでよりによって・・・・・・船なのでしょう・・・・・・。」
「大変だよねー。・・・船酔い。」
「うぷ・・・。」
出港から早くも30分。
流れで各自解散になってしまったけど、忘れ物を取りに部屋に戻ったら、キョウジュが倒れていたためにこうして残っているわけなのだが・・・。
「ねぇキョウジュ。それでも薬ばっか飲みすぎじゃない?返って身体に毒だよ。」
「いいんです・・・・・・飲んでれば・・・・・・うぷ・・・・・・効く気がするので・・・・・・」
「いやそれただのプラシーボ効果でしょ・・・。というかこんなに酷い有り様なのに、なんで大転寺会長に船が苦手だって言わなかったの?」
「今までが飛行機だったので・・・・・・・・・でも・・・・・・・・・どうしても今回・・・・・・・・・私が皆さんと・・・・・・・・・離れるわけには・・・・・・・・・いかなかったのです・・・・・・・・・。うげぇぇぇぇ・・・・・・・・・!!」
「あーわかったわかった!!もういいから寝てなよ!!ね!?」
バケツに頭を突っ込むキョウジュの背中を擦る。
「すみませんセツナ・・・お言葉に甘えて・・・・・・・・・ちょっとだけ休ませてもらいます・・・・・・・・・他の皆さんを・・・・・・・・・2時間後に・・・・・・・・・集めてください・・・・・・・・・」
「りょうかーい。・・・・・・ま、とにかく寝よ?」
枕にタオルを巻き付け、新しいバケツをベッドの隣にスタンバイし、そこにキョウジュを寝かしつける。
「・・・こうしてると弟みたい。」
ぐったりとしたキョウジュはもう何も答えない。
間もなく規則正しい寝息が聞こえてきたので、私はそのまま部屋を後にした。
「さってと。」
部屋を出た私は船内をうろうろと歩く。
しかしやたら広いな・・・。
一週間過ごしても退屈しなさそうだ。
「わ!プールあるじゃんプール!!」
時間を見ると、キョウジュとの約束の時間まで全然ある・・・よし、いける!!
船の上のプールなんて初めての私は、トイレに行ってキリから財布を取り出すと、売店で水着を購入した。
「おし!!」
ビキニも初めてで、胸が余らないか心配したけども、ちょっとだけ成長したらしくて心配はいらなかった。
30分だけ、30分だけ・・・と自分に言い聞かせ、プールサイドに出た。
「Hey、そこの君。ボクと一緒に遊ぼうよ!!」
「え?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには酷く驚いた様子のマックスがいた。
「Wowセツナちゃん!?どうしたネ!?なんでそんな格好なの!?」
「なんでって・・・遊びたかったから・・・というかマックスだってちゃっかり水着じゃん!!」
「そうじゃないネ!なんでそんなにSexyな格好をしてるの!?」
「セクシーって・・・私胸ないよ・・・。」
「と、兎に角何か上に着てよ!」
「えー。暑いからやだ・・・。」
「Nooooo!!!!」
何故か頭を抱え始めるマックス。
「ねぇそれよりマックス。ビーチバレーあっちで売ってるよ。一緒にやらない?」
「・・・仕方ないなぁ・・・ボクから離れないでよ?」
「え?うん。」
マックスの後に付いていきながら改めて自分の姿を見る。
・・・そんなにセクシーか?
船にはアメリカのギャルだっているし、あの子達のがよっぽど発育よくない?
「いくよ!ソレッ!」
「よっ!アシカアターック!!」
私達は目一杯プールを満喫した。
途中、マックスが他の女の子に「君のハートにゴー!シュート!」とか言いながらよくわからないナンパを始めたけど(不覚にも笑ってしまった)、かなり楽しめた。
それからどれくらい時間が経っただろう?
「セツナ!マックス!何してるんですかー!!」
プールサイドにキョウジュとタカオが見える。
私達はそこまで泳いでいった。
「ごめん、もう2時間経っちゃった!?」
「What?なんのはなし?」
「いや、キョウジュに皆を集めるように言われてて・・・」
「時間はまだ経ってません。・・・結局寝てても船酔いが酷くて・・・。」
そういってよろけるキョウジュをタカオが支える。
「船酔い?じゃあ一発で直す方法があるネ!」
私達は顔を見合わせた。