next night
□第七夜
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「ふん・・・漸く僕の出番が来たということだね。」
「紹介しよう、ウッドだ。」
「・・・いい加減にその捻りのないコードネーム付けるのやめたら?」
「なかなか余裕そうだね、君。さては、僕に勝てると思っているんだ?」
「勝てるか勝てないかじゃない・・・勝たなきゃならないんだよ。」
私は相手をキッと睨み付けると、ベイブレードを取り出す。
何もかかれていないビットは、もう見慣れた。
でもね、だからって諦めたわけじゃないの。
「(・・・・・・行くよ、キリ。)」
シューターを構え、スタジアムに狙いを定める。
「「3、2、1、ゴー!シュート!!」」
精一杯ワインダーを引き、ドラキリューは相手を目掛けて飛んでいった。
なかなかいい感じに相手を押すドラキリュー。
「よし、いいぞそのまま!!・・・行け!!」
「・・・・・・。」
しかし、ウッドは特に指示を出すわけでもなく、黙って自分のベイブレードがやられている様子を見ていた。
なんとなくそれが気になり、早めに決着を着ける必要性を感じ始める。
「ドラキリュー、一気に決めよう!!・・・グラウンドアーップ!!」
スタジアムに現れる無数のブロック。
しかし、それらは姿を現した次の瞬間にボロボロに崩れていった。
「え・・・なんで・・・?」
「フフ・・・」
「!!!セツナ、避けろ!!」
「え・・・キャアッ!!?」
カイが叫んだ瞬間、突然崩れたブロックから植物の蔓のようなものが伸びてきて、ドラキリューを弾き飛ばした。
「驚いたかい?木は、養分を取って土を痩せさせる。・・・つまり、君にとって僕ほど相性の悪いブレーダーなんていないのさ。」
「・・・!!」
「いいね・・・その顔!もっと見ていたいけど、さっさと蹴りを着けなきゃならないんでね!行け!!!」
「うわっ!!」
ガキンッ!!!
そんな音を立てて、ドラキリューが上空へ吹っ飛ぶ。
このままじゃスタジアムアウトだ・・・!!
どうしようもなく、ただドラキリューが舞い上がる様子を眺めていると、背後からカイが私の名前を呼んだ。
「こんなものではないだろう!?・・・諦めるな!!!」
「!!」
ビリッと、身体に電気のようなものが走る。
その電気が私の中にあるスイッチを押して、有りとあらゆる力を溢れさせた。
こんなところで終わらない。
絶対に負けない!!
「グラウンドアップ!!」
間一髪でスタジアム外に現れたブロックに上手く当たって、その弾みでなんとかスタジアムアウトを間逃れたドラキリュー。
回転はいくらか弱くなってしまったが、まだ戦える・・・!!
「スタジアムの外に土のブロックを作るとは・・・いつの間にそんな技を身につけたんだい?」
「そんなこと教えるか!!」
「ふぅ・・・やれやれ、余裕がないのはわかったよ。さっさと片付けてあげないとね。」
「セツナ、来るぞ!!」
「わかってる!!ドラキリュー、残りの力を全て使ってアタックだ!!」
ガキンッ!!
「フフッ、随分威力が弱くなったんじゃないのかい?」
ガキンッ!!
「それでもまだ、諦めない!!!」
ガキッ・・・ン・・・!
「っ、ドラキリュー!!」
「ほらほら!!どうしたんだい?ぶつからないと僕には勝てないよ!」
ガッ・・・
「!!!」
グラリと傾くドラキリュー。
嘘だ・・・ここで負けたら、皆は・・・。
頭のなかを、BBAの皆の顔が過る。
そして、大転寺会長や、タカオのお祖父さん、今まで戦ってきた人達、キリ、お兄ちゃん・・・そして、
「・・・・・・っ!!」
今すぐそこにいるカイを見て、涙がブワッと零れる。
嫌だ・・・ダメ!!
「ドラキリュー!!頑張って!!!」
ガラガラになった声が、波の音で掻き消される。
なんで私はこんなに弱いんだ!?
なんでこんなに大事なときに負けるんだ!?
もっと力があれば・・・キリが傍にいれば・・・・・・。
「っ・・・、キリィィィイイイイイイッッッッ!!!!!!」
『待たせたな。』