ある日少年は一人、木の枝に座っていた。
青い髪を纏い、赤い瞳を持つ少年にたくさんの鳥が近付いていた。
『……』
少年は、優しい表情で鳥と接していた。
そんな少年のもとに一人の男が近付いた。
「お、ここにいたか。」
『……』
男は少年を見つけ、安堵の表情を浮かべた。
「今畑作業が終わったんだ。お前がどこにいるかなって思って探してたんだが……やっぱり森にいたんだな。」
『……なんで、ここに?』
「もう暗い。そろそろ家に帰ろう?」
男が言うように、辺りは暗くなってきたのだった。
『……俺は一人で帰れる。』
「いいじゃねぇか。俺はお前と帰りたかったんだよ。」
『……』
「まぁ、お前がもう少しいたいんならいていいぞ?俺は晩飯の準備をしとくから、晩飯までには帰るんだぞ。」
男がそういい、少年がいる木から離れようとした。
すると、少年が木から降りてきた。
「ん?どうかしたか?」
『……帰る。』
「え?」
少年は男の手を掴んで歩き出した。
男は微笑み、少年の手を優しく握った。
「ありがとうな、瑠衣。」
『……』
これは、少年だった頃の瑠衣の話……
一緒に帰ろう
(……父さん。)
(ん?)
(……迎え、ありがとう。)
END