柳暗花明

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『……ッ……ここは……』




崖から落ちたはずの俺が気が付くと、先程いた場所とは違う場所にいた。

何故、そんな事が分かるのか。
それは……




『あの妖怪が、いない……』




俺と戦っていたあの蛇妖怪がいなかったのだった。

あの高さだから生きてるはずはないのだが、それなら俺ももしかしたら……




『一体ここは……ッ!』




立ち上がるとしたが、右足首がいきなり痛み出した。




『(さっきので、か……!)』




その時、一つの気配が近付いてきた。

俺は頭に布を被って気配を消し、気配が来るのを待った。




−−−ガサガサッ……




草むらから現れたのは、黒い馬に乗った人間……

人間は馬から降りた。
その人間は右目に眼帯をしていた。




『(病にやられたか……そんな事より、ここを離れないと……)』




俺は人間から離れる為に少しずつ移動していった。

だが……




『……ッ!』




−−−バタッ!




右足首を捻っているのを忘れて立ち上がったから、痛みに耐えれず倒れてしまった。




「!」




音に気付いた人間は、俺のもとにやってきた。




『(やってしまった……)』




人間は俺を見付けた。




「……」




人間は俺の姿を確認して、口を開いた。




「Who are you?」


『(?……なんだ、この人間……)』




不思議な言葉を発した人間。

何者だ……?




「Oh,sorry……分からねぇのは無理もねぇよな。」


『……』


「んで、アンタは誰なんだ?因みにさっきの質問と同じだ。」




人間は、俺に再び質問をしてきた。




『……貴様に答える理由がない。』


「What?」




俺は立ち上がり、その場を離れようとした。

しかし……




「Stop!」




人間が俺の前に出てきた。




「アンタ、足怪我してるのか?右足を引きずっていたが……」




気付かれていたか……




『言ったはずだ。貴様には関係のない。』


「……」




俺はそういい、背を向け歩き出した。

その時……




「……やっぱり、無理だな。」


『は……ッ!』




俺はいきなりの浮遊感に驚いた。
俺は人間に抱き上げられていた。




『貴様……!』


「Don’t worry……じゃなくて、心配するな。俺の屋敷に来てもらうだけだ。」


『何故貴様の屋敷なんかに……!』


「少しの辛抱だ。」




男は俺を馬に乗せた。




『待て!俺h「しっかり捕まっとけ!Ha!」……ッ!』




人間は俺の言葉を無視し、馬を走らせた。




『(この人間……!)』




降りることも出来ずに、俺は仕方なく馬に乗っていた。






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