読み物
□ひたぎマス
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《一時間目、数学》
「やべえ…数学の宿題忘れた……」
7月になりもうすぐ夏休みだからか、気が抜けてしまっていたようだ
ちゃんとやってきたのになあ…割りと凹む
とりあえず、このままでは仕方がないので、戦場ヶ原に写させて貰うことにする
写させてくれるかどうかは置いておいて
「ヶ原さん、悪いんだけれど宿題、見せてくれないか?」
「嫌に決まっているじゃない」
清々しいまでの即答だった
しかし諦める訳にはいかない
提出物ひとつ、僕の受験に関わってくるのだ
「そこをなんとか…」
「なあに、阿良々木君。自分のミスを他人にカバーしてもらおうだなんて。浅ましいにも程があるんじゃないかしら」
「ごもっともです…」
反論の余地がねえ…
正論には弱い僕である
というか戦場ヶ原には屁理屈なんて通じなさそうだしな
「仕方ない。羽川に頼むか」
多少怒られはするだろうけれど、仕方がない。羽川に怒られたいとか、断じてない
羽川の元へ向かおうとしたが、戦場ヶ原に呼び止められた
「待ちなさい阿良々木君。貴方はどこまで愚かなの、羽川さんに見せて頂こうだなんて。だったら私が見せるわよ」
「え、いや。だってさっき…」
「そんなに自分が宿題を忘れた事を回りに知らせて、恥をかきたいのかしら」
「そんな事はないけれど…」
どんなドMだよそれ
クラスで気軽に話し掛けられるのは戦場ヶ原か羽川しかいないのだ
「それに、先程断ったのだってツンデレったのよ。それ位分かりなさい」
「デレが見当たらなかったが!?」
「はい、デレた」
そう言って戦場ヶ原は宿題のプリントを見せてくれたのだった
《不器用照れ隠し》