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伊武深司
気が付けばもう十一月かと、カレンダーをめくった
今年は過ぎるのが早いと感じる
嫌だなあ、親父みたいなこと言ってる。まるで俺も年をとったみたいじゃないか
学ランを羽織り、ラケットバッグを肩にかけて、妹達に見送られて家を出た
ぶるり、と震えて一歩
こんなに寒いと家を出ることも億劫になってしまう。授業中だって寒さで指が動かないし、お陰で字だって汚くなってしまう。それから寒い寒いと走り回る神尾がうるさいのだろう
だから冬は嫌なんだと、はあと溜息を吐いた。流石にまだ白くはならないようだ
学校はまだ暖房を付けてくれないわけで、もし俺が風邪を引いて文句を言おうが自己管理がどうこう言うのだろう
学校に行くのが嫌になってきた
しかし、そこでテニスを思い出す
今日の部活一体何をするのだろう。身体が温まれば今日はそれでいい気もする。でも汗をかくのは嫌だなあ、気持ち悪いし、制汗剤を使えばすーっと寒くなってしまう
早く春がこないかなあと、まだ冬は来たばかりなのに思いながら、ラケットバッグを担ぎ直した
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