BOOK
□コンビニ
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苺みるく…
それは、男達の憩いドリンクと言っても過言ではない。
今日も苺みるくを求めて、醜い争いが始まっていた……
「手ぇ離せや…竜」
「No」
ここは冷房が効きすぎた肌寒いコンビニで、彼らはコンビニで最も寒い飲料売り場で言い合いをしている。いい年した男子高校生がみっともない。
「先にここへ来たのは俺だ。okay?」
「先にこのお宝を見つけたのは俺だ!」
バチバチと火花が散っている様に見えない事もない。
「てめぇはバナナミルクでも吸ってろ姫若子!!」
「てめぇこそバナナミルク吸ってろや梵天丸!!」
2人は互いに睨み合う。可哀想なのはバナナミルクだ。(別にバナナミルクも美味しいと思うが…)
「ここで争ってても仕方ねぇ!ジャンケンで勝負だ!」
「いいぜ?海賊の流儀を教えてやるよ!」
「「最初はグー!ジャンケン……」」
その時だった。
「貰うぞ」
派手な金色が2人の横を通り過ぎて、苺みるくを攫っていった。
そんなまさか…!
二人が体が固まってしまった。
「かすがー、早く行こうぜー」
「待て」
会計を済まし、金色は幼なじみの元へ行く。彼女は最後に、呆気に取られる2人を鼻で笑って店を出て行った。
残された二人は泣きながらバナナミルクを買ったとか買ってないとか…。
(あっかすが!苺ミルク買ったんだ〜)
(そうだ…何かイケないか?)
(いや…よく竜の旦那と鬼の旦那が取り合ってるからさぁ〜思いだしてねぇ〜)
(……フッ…そうか…)
(?どうしたかすが〜)
(何でもない…)